1996 Fiscal Year Annual Research Report
高齢在宅酸素療法者の阪神大震災における心的外傷体験について
Project/Area Number |
08610162
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Minatogawa College |
Principal Investigator |
フェルトン 晴子 (大島 晴子) 湊川女子短期大学, その他部局等, 助教授 (20249494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 徳子 京都女子大学, 家政学部, 助教授 (80077396)
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Keywords | 大震災 / PTSD / 高齢者 / 在宅酸素療法者 / 価値観 / 喪失感 / 信頼感 / 死の意識 |
Research Abstract |
本研究は、一昨年の阪神大震災の混乱の中、高齢在宅酸素療法者及び高齢者がどのような状況に遭遇し、何を感じ、いかに生き抜こうとしてきたのかを記録することにある。被災半年後に実施された、大阪済生会病院呼吸器科医師団による震災被災在宅酸素療法患者の調査に参加の機会を持ち、本研究の対象者はその調査資料より年齢60才以上の者を抽出した。また比較群は平成8年6月〜9月において、阪神間在住の了承が得られた被災者にアンケートを配布、返送の有った中から60才以上の者を選出した。比較群のアンケート内容では酸素器具や病状の質問事項は省いており、また両者のアンケート時期が約1年の隔たりがあるため、比較群の質問時点を震災直後、1年前(実験群の調査時である被災半年後)、現在の3時点とした。結果、実験群75名比較群18名となり、そのアンケート結果をパソコンに取り込み、統計資料の作成並びにその検討を試みている段階である。 1,アンケート内容は (1)被災者の背景因子:プロフィール、家族及び生活環境、被害状況、被災時の病態、被災後の経過、についてなど24項目について質問した。 (2)身体症状スコア:身体症状の有無について兵庫県臨床心理士ホットラインのアンケート内容などを参考に被災直後、と調査時に分けて尋ね、その結果有りと返答結果の合計を身体症状スコアとして検討した。 (3)喪失感・獲得感スコア:大阪府心の健康総合センターの資料より8項目(平和感・安心感、自分自身の存在感、他人への信頼感、将来への希望・期待、自分の能力、人生の主導権は自分が握っているという実感、家族・友人・隣人への信頼感、家や財産への価値観、)について震災直後と震災前で比べて検討した。 (4)PTSDスコア:DSM-IVのPTSD診断基準を参考に、震災直後、調査時のそれぞれでその有無の検討を試みる。 2,現時点では以下のことが示唆された。 (1)被災者の背景因子について:自宅酸素の被験者の背景や状況と震度の強弱、建物被害の強弱、避難所経験の有無などと身体症状との関連について検討してみると、震災直後には比較項目間に有意差を認め、これらの背景因子は、被災直後の身体症状に強い影響を与えていたと考えられる。しかし被災半年後になると全ての被災者背景でスコアは低値を示した。
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