1998 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的技術伝承のメカニズムの社会学的研究-和船大工のライフヒストリーの分析を通して-
Project/Area Number |
08610175
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 幹夫 新潟大学, 人文学部, 教授 (00251778)
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Keywords | 船大工 / 和船建造技法の伝承 / 手漕ぎ船 |
Research Abstract |
1. 岩手県田老町・岩泉町茂師に在住している船大工から,ライフヒストリーの聞き取りを行い,船大工としての修行地が宮城県石巻市・同県雄勝町・函館などの造船所にまで及び,その範囲は家大工に比して広いことを確認した。また,津波と船型の変化の関連については,昭和8年の津波の事例から,それ以前から各地に伝えられてきていた船型は,殆ど変化しなかったこと,すなわち,その後の変化もないので,今日まで津波以前の船型が,そのまま継承されていることを確認した。 昭和8年の津波直後,船が流失して,漁師たちから大量の船の建造の注文があって船大工のみでは対処しきれないでいたところ,家大工までも船の建造に乗り出した。そこで,船大工たちは,船型・大きさ・建造価格の協定を結び,自衛の手段を講じたこれが,その地域の船大工組合の創設の理由であることの情報も得た。 2. 岩手県宮古市在住の船大工から,カンヅキ型サッパセンの建造工程と,その発達史に関する資料を採集した。
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