1998 Fiscal Year Annual Research Report
地場産地におけるフレキシビリティとインフォーマルな労働
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08610176
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Research Institution | NIIGATA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊賀 光屋 新潟大学, 教育人間科学部, 教授 (40108006)
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Keywords | フレキシビリティ / インフォーマルな労働 / アントレプレヌールシップ / 戦略的ネットワーク / 製品開発型企業 / 産地 / 熟練 / ニューテクノロジー |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年度であるので、補充調査と報告書の作成を行った。補充調査は、大阪府、北陸三県、山形県のニットメーカーを対象としたフレキシビリティに関する調査と東京都異業種交流事業に参加している企業を対象とした戦略的ネットワークに関する調査を郵送法で実施し、併せて64社から回答を得た。また、山形、福島、埼玉のニット業者を対象にチームワーキングに関する非構造的聞き取り調査を実施し、併せて機械、ニット関係の資料蒐集も行った。 本年度の詞査及び分析の結果明らかになった知見は以下の通りである。 (1) 中小企業の経営者のアントレプレナー性は因子分析の結果、成長志向・安定志向の軸と自己犠牲・自己実現の軸から成っている。 (2) 中小企業主の態度構造から、プロモーター型と経営管理型を分離することは出来ない。 (3) 企業規模と対応させると、自営業・零細企業主では自己犠牲的で安定志向、小企業主では自己実現的で安定志向か成長志向、中企業では自己犠牲的で成長志向のタイプが多い。 (4) 戦略的ネットワークは、産地の中で活力のある中小企業が採用する最近の重要な戦略である。そしてそれは古典的な産地論の挙げた外部経済(集積の経済)や、フレキシブル・スペシャライゼイション論の挙げた範囲の経済(特化の経済)や協同効率による優位は勿論のこと、時間の経済を実現するものである。
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