1998 Fiscal Year Annual Research Report
地方都市の社会構造把握-北海道帯広市の地域集団・組織を軸として
Project/Area Number |
08610202
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Research Institution | TOYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大坪 省三 東洋大学, 社会学部, 教授 (00090671)
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Keywords | 都市社会構造 / 都市社会変動 / 地方都市 / 地域社会 / 地域集団 / 地域組織 / 地域生活 / 役職多重就任者 |
Research Abstract |
本年度はこれまでに収集して来た大量の各種データを整理して当初の目標に到達することが課題であった。結果としてその目標におよそ6割程度まで達することが出来た。なにより、調査対象地北海道帯広市(人口17万人)においてこの十数年の間に存した各種の集団ないし組織体に関する基本的なデータを全体的に整理し、それらの一覧表を作成し、延べ約6千件に及んだ集団・組織個々へ、分類記号を伴う整理番号を付与するに至った点である。これら集団・組織とその活動は、わが国における地方都市の一つ、帯広市に生きる人々が織りなす社会構造を把握する重要な手掛かりとなるものであり、それらの全体状況を一覧する準備が整ったことになる。 大都市に比べれば小さいが、村落社会と比べれば大きな社会たるこの都市でも、都市社会の根底的な性質たる匿名性は充分に現れている。すなわち、互いに直接的な関係を持たない状況が見られる。しかしその一方で実に多種多様な集団・組織が存在している。それらの成員数を見るに十数人から数十人程度のものが多数を占め、数百人程度のものもあるが、千人を超えるものは数少ない。また、時代状況に即して形成される集団・組織が目立ち、この都市に生きる人々がその生活上必須のものとしてあるいは生活を豊かに展開させるものとして、多くの場合主体的に、こうした集団・組織を結成していることを読み解くことが出来、論文化した。 一覧表作成の後に為すべき作業たる典型集団・組織のより深い理解作業と役職多重就任者の解析作業は、その一部についてすでに着手し活字化したが、それを目標量まで拡充出来なかった。構築した土台の上で構想することとしているより高次の研究枠組みの組み立て作業とともに直近の課題である。
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