1998 Fiscal Year Annual Research Report
保健・福祉・医療のサービス需給と介護意識の社会化に関する研究-ケアシステム導入との関連から-
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08610225
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Research Institution | Shokei Women's Junior College |
Principal Investigator |
出村 和子 尚絅女学院短期大学, 人間関係科, 教授 (50048758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 政和 大阪市立大学, 生活科学部, 教授 (20094477)
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Keywords | 介護家族 / 介護意識 / 介護の社会化 / 介護者の負担感 / 背負い込み意識 |
Research Abstract |
本研究は平成8年から10年度の3年間にわたる調査研究であった。すでに、前年度、前前年度に報告したように、2年間でアンケート用紙の作成、調査対象者の設定などが行なわれ、9年度に入って、対象者の調査が実施ざれた。その概要は次の通りである。 1。 調査地域・調査対象者・調査方法:宮城県南部の2市3町(名取市・角田市・蔵王町・村田町・川崎町)と宮城県北部の1市12町(古川市・中新田町・小野田町・宮崎町・色麻町・松山町・三本木町・鹿島台町・岩出山町・鳴子町・涌谷町・小牛田町・南郷町)を調査地域とし、実査は1997年5月〜12月の期間に各市町ごとに約1ヶ月の期間をかけて実施された。調査対象者は、在宅で重度の要介護状態にある高齢者の世話や介護をしている家族の中の主介護者とした。南部が601人、北部が961人で合計1562人が対象であった。この調査は質問紙法自記式による留置調査法で、配布・回収は各市町の民生委員、保健婦、ホームヘルパーが協力し、調査対象者宅を訪問する方法で行なわれた。 2。 結果:分析の結果は報告書を参照されたいが、今回は主介護者の意識に焦点を当て、介護サービスの利用度と、主介護者の介護に関連する態度・意識・志向との関係やざらに世間体や伝統的な家族扶養意識との関係を探ることを中心とした。その結果、両地域とも家族の同居率が98%と高く、殆ど介護は家族に依存しており、世間体というよりも家族が見るのは当たり前といった実情にあるこが分かった。故に、利用状況は3分の1で、今後の利用意向も約5割一寸あるが、利用したくないという否定的意向が3割であった。こうした点から、サービスに関する積極的広報が必要である.また、介護が主介護者の生き甲斐になっている点も見逃せないことが分かった。他人に任せられないという意識が5割ほどあったが、ぎりぎりの限界でサービスを利用しており、在宅で介護をするためには、サービスを受けることも、選択肢に入っていることが分かった.以上のように、世間体や家族の伝統的扶養意識が介護の社会化を必ずしも阻害している条件とは言いがたいものがあり、ざらには「介護にやりがいがあり、自己犠牲感がない」という状態は、「介謹の燃えつき」につながる前段階の状態とも捉えられ、今後の課題でもある。
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