1996 Fiscal Year Annual Research Report
戦前の初等教育の変容と中等学校入試改革に関する実証的研究
Project/Area Number |
08610246
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
木村 元 一橋大学, 社会学部, 助教授 (60225050)
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Keywords | 戦時下日本 / 初等教育 / 中等学校入試改革 / 教育実践 / 総合判定法 / 成績考査 / 入学試験 |
Research Abstract |
本研究は、1930-40年代日本の初等・中等教育の連絡問題に注目しながら、初等教育がどのような状況におかれていたのか、そうした状況に対して制度改革はどのような認識でなされたのかについて新しい知見を得ようとしている。 本年度は、(1)本研究を位置づけるための戦時下教育研究に関する方法論をまず検討した。その中で、全体の枠組みを彫琢するために意見交流に務めた。(2)同時に、進路就学に関する基礎データーの収集、整理、関連資料の収集、分析を行った。全国のみならず、東京、秋田、奈良などの社会過程に関する具体的な史料を得た。(3)また、学校教育実践と入試の規制を考える上で、学校の実態調査も実施した。特に新教育実践校として、学習研究で草分け的な存在であり、今日までその伝統を受け継いでいる奈良女子師範学校附属小学校を対象とした調査によって、同校の教育実践が学区廃止後父兄の教育要求に大きく影響されていたことを示し得た。これは従来まったく示されることがなかった貴重な成果である。(4)さらに、戦時下の中等学校入試である総合判定法検討に関して、附属師範学校を中心になされていた成績考査法の研究の実態の一端を示しうる史料を入手した。プロジェクトチームを組織し、その分析に入った。(5)その他、戦後の入試改革との関連を知るために戦後の入試制度の展開について小稿を著した。本年度に蓄積された史料と知見をもとに、さらなる史料調査と併せてそれらを総合し来年度は報告書を作成にとりかかる。
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