1996 Fiscal Year Annual Research Report
「多文化教育」をめぐる諸概念の再検討-<国際化社会>における教育改革のための基礎研究
Project/Area Number |
08610247
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
関 啓子 一橋大学, 社会学部, 教授 (20107155)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 利夫 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員
木村 元 一橋大学, 社会学部, 助教授 (60225050)
|
Keywords | 多文化主義 / 異文化間教育 / 国際化 / 教育改革 / 発達 / 民族 / 文化変容 / 子育て |
Research Abstract |
本年度はまず、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、日本の各地域を対象とした文献・資料を多数収集することに重点をおいた。その際、「移民」、「人種」、「民族」、「ジェンダー」、「地域」、「文化」などの問題を扱ったもの、および、各地域の「多文化教育」に関するものを中心に収集した。そして、来年度の研究計画にある文献・資料の分析、検討のための準備として、収集した文献・資料を整理する作業を現在継続している。 また、文献・資料の収集と平行して定期的な研究会を組織し、文献購読、研究代表者らの論文検討などをおこなってきた。文献購読においては、とくに「民族」、「人種」、「ジェンダー」、「文化」などの諸概念をめぐる理論的な検討を進めるなかで、これまで比較的固定化されてとらえられてきたこれらの概念をどのようにとらえ直していくのかを議論したが、この点に関しては来年度もさらに検討を重ねていく予定である。研究会参加者の論文検討においては、代表者の専門領域であるロシアにおいて、異なる「民族」どうしの異文化間接触のなかで、子どもの<ひとりだち>の過程とそこに含まれる人間関係がどのように変化したのかを明らかにするための方法論の模索がなされた。また、研究分担者の専門領域であるラテンアメリカの一国メキシコにおいて、「人種」、「民族」、「文化」などの概念が、「メキシコ文化=混血文化」という言説のなかでどのように論じられていたのかという報告がなされた。今後も研究会を継続し、理論研究、および具体的な地域を対象とした実証研究をおこなう予定である。
|
-
[Publications] 関啓子: "教育改革の思想史的研究の試み" 理想. 658. 93-104 (1996)
-
[Publications] 関啓子: "家と教育(ソ連社会における子どもと女性-理念と現実)" 井ヶ田良治.田端泰子.布川清司編, 担当229-264 (1996)