1996 Fiscal Year Annual Research Report
英国メカニックス・インスティチュートにおける親睦的活動の教育的意義に関する研究
Project/Area Number |
08610252
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 鉦治 名古屋大学, 教育学部, 教授 (00109232)
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Keywords | メカニックス・インスティチュート / 余暇の社会史 / レジャーの社会史 / ベンジャミン・ヘ-ウッド |
Research Abstract |
本年度は,3年計画の初年度であるだけに,まず第一に,内外における「余暇の社会史」ならびに「レジャーの社会史」に関する先行研究の調査および文献史料の収集を,重点的におこなった。研究対象であるメカニックス・インスティチュートにおける親睦的催事は多彩であるため,できるだけ多面的な史料文献を調査し収集することを意図した。複写に時間を要するマニュスクリプト類については今なお手元に届いていないが,意図した史料文献はおおむね入手することができ,分析をはじめたところである。 第二に,具体的分析作業としては,事例研究に着手した。個別事例として予定したなかの,とくにマンチェスター・メカニックス・インスティチューションにおいて先導的な企画者であったベンジャミン・ヘ-ウッドの革新的な経営行動について考察をはじめている。具体的には,同メカニックス・インスティチューションの『議事録』と彼の『講演録集』の分析を通して,かれは教育プログラムのなかに一般教養的・娯楽的な催し物を適宜結びつけて開催することで大きな経営的成功をおさめること,これは自然科学の原理的学習の拠点を提供するという当初の意図からすれば注目すべき転換であることが,それぞれ明確になった。こうした経営方針の転換はいかなる教育的・社会的意義をもっていたのか,重要な検討事項であるが,次年度以降に残された課題として考察を深めていきたいと思う。 なお,本年度は具体的な成果を示していないが,次年度以降には成果をまとめて発表する予定である。
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