1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610258
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
澤田 篤子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00101262)
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Keywords | 学校音楽教育 / 民族音楽 / 民俗音楽 / 楽器作り / 音楽作り / 包括的音楽学習 |
Research Abstract |
今日「民族音楽」という用語については今日様々な議論があるが、本研究では便宜上、西洋の芸術音楽以外の音楽とし、さらに民族音楽の中でも特に民族音楽、すなわち非分業化、即興演奏による創造、楽譜を介在しない口頭による伝承、という特徴をもつ音楽を扱うものである。本研究は従来行われてきた異文化理解のための民族音楽学習という視点のみならず、そのような音楽の特徴自体が子どもの音楽学習に有効に機能するのではないかという視点をもって行なう。前年度では学校音楽教育の範囲内で民族音楽に触れる機会がなかった児童を対象としてが、本年度は授業内で多少なりとも民族音楽の経験のある児童(大阪教育大学附属池田小学校第4学年)を対象とし、平成9年10月〜12月に上述の視点に基づく授業を実施し、その記録観察を行なった。 具体的には竹を用いた楽器作りおよび音楽作りを内容とし、まず楽器作りでは、竹材が得られる場、すなわち竹林の観察から始まり、その竹の材料としての性質の探究、および一般的な発音原理の確認(3年理科で学習済み)と竹材での発音の探求をもとに楽器作りを行なう。さらに作られた楽器での発音および音楽作りの探求、そしてグループにより音楽作りおよび作品の発表に至る。音楽作りの初期の段階では、音高が区別できる楽器をもった子どもたちの間では既知の音楽の旋律を模倣するという活動も見られたが、活動を継続するうちにそれぞれの楽器の音色や奏法を生かした音楽作りへと移行していった。 なお以上のように包括的な音楽学習を十全に行なうためには、音楽の範囲を逸脱せざるをえず、総合的な学習の場で扱うことが今後の検討課題として残された。
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