1997 Fiscal Year Annual Research Report
学校経営と学級経営の連続性と統合性に関する理論的・実証的研究
Project/Area Number |
08610261
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡東 壽隆 広島大学, 教育学部, 教授 (00033580)
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Keywords | 教育理念 / 学校経営 / 学級経営 |
Research Abstract |
理論的な研究においてはつぎの諸点について研究を進めた。 1 教育社会学、教育方法学、教育心理学、及び教育工学の各領域における学級経営理論の様相とそれらの統合可能性について考察した。 2 学校経営学と上記4領域の学級経営論との統合可能性について考察した。 3 学校経営と学級経営のそれぞれを包括する諸理論の検討と独自の理論構築を行った。 その結果、学校経営の科学を志向する論者は、教育の論理で展開される学級経営論を別の科学領域と認識するか、ないしは「条件整備としての経営」概念のもとで統合するかいずれかであることを明らかにした。これは学校経営学(論)が教育行政の一環であり、学校で展開される教育を中心に認識されていないところに原因を求めることができる。 学級を対象として研究を進捗させてよい教育社会学、教育方法学、教育心理学、教育工学なども、研究レベルでは学級を対象(科学の対象)としておらず、研究成果は脆弱なものであることが明らかにされた。学級経営論は一定のイデオロギーに基づく「集団」の捉え方によって立場を異にする傾向が強く、科学のメスを通じて得られた知見を体系化することによって理論構築を行うというよりも、一定のイデオロギーを学級に適応して理論構築する傾向が強い。教育心理学にそのような傾向を超克する役割を担わせたいが、現段階では研究が不足している。 実証的な研究では、学校経営調査(校長対象)と学級経営、学年経営調査(学年主任、教務主任を主対象)を実施し、教育理念、教育目標、教育計画の結合関係、及びそれらに基づく実践の様態から、学校経営と学級経営の連続型、非連続型、他方で学年としても、学校としてのまとまりの点で統合型と非統合型に類型化し、それぞれの組合せから学校としての有効性を分析した。 その結果、教育理念、各経営段階の教育目標間に必ずしも連続性や統合性が図られていないことを見い出した。
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