児童・生徒の問題行動への教師の対処行動にみる教師文化の実証的研究

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08610269
• Research Institution: Ehime University
• Principal Investigator: 南本 長穂 愛媛大学, 教育学部, 教授 (60108371)
• Keywords: 教師文化 / 問題行動 / 対処行動

Research Abstract

近年、わが国の学校教育現場では、校内暴力、いじめ、登校拒否等の問題行動が顕著にみられてきた。こうした問題行動に取り組み、解決していくことができる教師の対処行動のあり方の検討が重要となっている。平成10年度に実施した「生徒指導主事の職務遂行と指導意識に関する調査」結果に基づいて、生徒の問題行動への対処でより有効な対処能力を発揮していると考えられる小・中学校の生徒指導主事(小学校では、生徒指導部長)の対処行動と意識を明らかにした。すなわち、小学校と中学校という学校段階によって、問題行動の対処と意識に、教師文化の大きな差異が存在することを、実証的に解明した。
この特徴をより明確に実証するために、学校単位で教師の問題行動への対処行動にどのような特徴があるかの解明を目的に、松山市の小・中学校教師に対して「教師の実践的指導力に関する調査」を実施した。学校段階(種)別の特徴に加えて、学校単位での問題行動への教師集団としての対処行動にみられる教師文化としての特徴を明らかにしつつある。
本調査票は、教師の具体的な教育場面における対処行動を数量的に把握することから一歩進めて、「自由記述回答欄」を多く設定し、教師の生徒の問題行動への対処の実態に関するナマの声を多く拾い上げている。
現在、この調査票の「自由記述」にあらわれた教師の対処行動のパターンとその対処意識を、すなわち「教師文化」、及び「問題行動の対処にあらわれた学校文化」 (教師集団としての対処行動・意識)の分析をすすめている途中である。近日中に、報告書を作成する予定にしている。

Research Products

• [Publications] 南本長穂: "大塚忠剛編『幼児期教育の理論と実際』北大路書房" 「教師文化の実際と役割」148〜158頁, 11 (1998)
• [Publications] 南本長穂: "南本長穂・太田佳夫編『教育現象を読み解く』黎明書房" 「教師という仕事」45〜67頁, 23 (1998)