1998 Fiscal Year Annual Research Report
教育政策家ヘルムート・ベッカーと戦後ドイツの学校民主化に関する研究
Project/Area Number |
08610285
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Research Institution | HIROSAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
遠藤 孝夫 弘前大学, 教育学部, 助教授 (70211779)
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Keywords | ヘルムート・ベッカー / ドイツ教育審議会 / 管理された学校 / 自由な人間 / 自律的学校 |
Research Abstract |
本年度は、3年継続の最後の年度であり、これまでの研究成果のとりまとめを中心として研究を進めた。本年度の主な研究成果は以下の通りである。 1) ドイツ教育審議会の諸勧告の中でも最も重要なものである、1969年の総合制学校の設置に関する勧告、1970年の教育制度の構造的改革に関する勧告、さらに1973年の教育行政改革に関する勧告は、その後のドイツの学校の民主的改革に大きく貢献したものであり、いずれもヘルムート・ベッカーがその勧告本文の主要な部分の起草に直接関与することで成立したものであった。しかも、これら3勧告を中核とするドイツ教育審議会の勧告は、「管理された学校」ないし「調教施設」としての学校の在り方を、「自由な人間」を形成するための「自律的学校」へと変革するというベッカーの教育政策論を基底とするものであったことが解明された。 2) 1950年代私立学校法の制定経緯とそこでのへルムート・ベッカーの役割に関する研究成果は、日本教育学会機関誌『教育学研究』に掲載されることが決定した。
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