1996 Fiscal Year Annual Research Report
不登校児童・生徒の集団における行動特性と人間関係に関する研究-野外における集団生活をベースとして
Project/Area Number |
08610295
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
上原 貴夫 長野県短期大学, 教職課程, 助教授 (60105533)
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Keywords | 不登校 / 集団生活 / 人間関係 / 自己体験 / 野外キャンプ / 自然 / ボランティア |
Research Abstract |
不登校児童生徒の行動特性と人間関係について野外の集団生活キャンプを実施して研究した。また、実施後の再登校について追跡調査をした。キャンプは1泊2日(短期)と5泊6日(長期)で各々を1回ずつ行った。2箇所で実施した。参加対象は不登校の状態にある小学校5・6年生と中学生およびその友人である。参加者は2箇所あわせて短期キャンプ141人、長期キャンプ112人である。このなかで、不登校にある児童生徒は短期キャンプ46人、長期キャンプ69人で、各々の参加率は短期で約32%、長期で約62%である。長期終了後の不登校者を対象としたアンケート調査(対象69人、回答50人、回収率72%)によれば再登校をはたした者は7名で14%、心理面などの改善傾向がある者42人で84%である。 野外キャンプは自己体験をねらいとした。不登校から再登校へ向けた行動実現を追求するが、その出発点ともなる自己受容の実現をめざした。その具体的な実現として自己体験を位置づけた。活動内容は1部は施設泊もあるが自然の中での野外集団生活活動を基本とした。レクレーション、飯盒炊飯など行事プログラムも計画したが、それらは人間関係や行動を促す契機、自己体験の手がかりと位置づけられた。参加者の世話は二十代の大学生、社会人のボランティアがあたった。 不登校の子ども達の集団生活の可能性で心配な面もあったが十分に実現できた。行動面で、共に参加した不登校でない子ども達と比較しても同じように活発に活動ができ、人間関係の形成もできた。人間関係はスタッフによる行動観察からソシオグラムを作成し、検証した。不登校児はとかく集団生活や人間関係が苦手であると言われているが、必ずしもすべてにあてはまるのではないといえる。再登校を始める者は必ずしも集団生活で活発に行動したり、人間関係を形成した者とは限らない。これには集団の中での行動形成も考えられる。
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