1997 Fiscal Year Annual Research Report
古代日本における郡司制度とその実態的変遷に関する研究
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08610336
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
森 公章 高知大学, 人文学部, 助教授 (30202360)
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Keywords | 試郡司 / 読奏 / 任郡司 / 評司の任用 / 郡司任用の儀式 |
Research Abstract |
1.今年度は律令国家の郡司任用方法の淵源を探ることと、9世紀以降の郡司任用方法のあり方を検討することを通じて、日本古代史を通覧しての郡司任用方法の変遷を整理した。淵源と10世紀の郡司任用の儀式については、いずれも論文として発表することができた。 2.次にこの郡司任用方法の歴史を軸として、郡司制度の変化との関係を検討することを課題とした。この面では9世紀の擬任郡司制、10世紀の「国衛官人郡司」、11世紀以降の一員郡司制といった変遷を整理し、9世紀以降古代末期までの郡司制度の変容を自分なりに跡づけることができた。また特に「国衛官人郡司」については、雑色人郡司という用語を用いるのが至当であるとの結論に達し、従来の研究史に変更を迫る視点を得ている。但し、以上の郡司制度の変遷は、国家機構全体の変貌のあり方とも密接に関係しており、他の要素についての研究を持たねばならず、論文化のためにさらに研鑽を重ねることにしたい。 郡司制度の実態的変遷を検討する上で不可欠の郡司任用者を整理した。郡司表に関しては、古代の部分を完成し、報告書に掲載することができた。本郡司表は郡司任用者名と出典だけでなく、各人の経歴にも留意しており、また郡司の譜第郡司氏族の推定とその変遷にも言及し、郡司制度の変化と実際の郡司就任者の関係を検討できるように考慮したのが大きな特色である。なお、史料の信憑性に問題が残る系図についても収録し、参考として掲げているので、より多くの事例を集めたことになる。この郡司表を利用して、さらに郡司制度の実態的変遷を、各地域ごとに検討し、地域史研究に役立てる道も探りたいと思う。
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Research Products
(2 results)