1996 Fiscal Year Annual Research Report
古代東アジア世界における中国法継受に関する基礎的研究-大宝令の復元とその位置付けを中心課題として-
Project/Area Number |
08610337
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
坂上 康俊 九州大学, 文学部, 助教授 (30162275)
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Keywords | 律令 / 大宝令 / 中国法 / 東アジア世界 |
Research Abstract |
大宝令文復元研究の現段階を把握するために、日本古代史に関する専門研究書および日本古代史関連原稿を掲載することの多い雑誌類を調査し、全体で約1,000条におよぶ条文の一条ごとに、復元率ないし参考となる見解を提唱した編著、発表年、著者、頁をデータ・ベース化した。更に従来の研究を踏まえた現在最も穏当と思われる復元率およびこれまでの研究で提唱されてきた復元率については、3月末に刊行予定の『唐令拾遺補』(東京大学出版会)に盛り込むべく努力し、官位・戸・田・賦役・学・選叙・継嗣・考擦・禄・公式の各会については本研究の成果を校正段階で盛込むことができた。但し、データベースではまだ未完成であり、これからますます大学院生等の協力をあおぎながら充実させていく必要があり、その過程で先掲書の復元集に修整を加える必要のある部分が発生する可能性がある。一方この間中国法の継受の状態を広い視野に立って擬観すべく大宝令の資本問題と東アジア世界における「律令」の帝国法としての側面を考察し、「大宝律令制定前後における日中問の情報伝播」を公表した。研究の過程では、作業の効率化を重視し、東京及び関西方面に数度の出張調査を実施している。なお、継受の過程における変改と、実施の過程における変容を、主として公式令を中心として検討しつつあり、これは来年度中の公表を予定している。また前記データベースについてもより充実した形のものとして来年度末の報告書に盛込む予定である。
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[Publications] 坂上康俊: "舶載唐開元令考" 日本歴史. 578. 1-17 (1996)
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[Publications] 仁井田隆著 池田温編集代表: "唐令拾遺補" 東京大学出版会, 1524 (1997)
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[Publications] 池田温・剽俊文編: "日中文化交流史業書2 法律制度" 大修館書店, 450 (1997)