1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610349
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Research Institution | Yokohama College of Commerce |
Principal Investigator |
飯島 千秋 横浜商科大学, 商学部, 教授 (90151224)
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Keywords | 奥御金蔵 / 蓮池御金蔵 / 金奉行 |
Research Abstract |
初年度に提出した研究計画に従って課題研究を継続した。今年度は、蓮池御金蔵の管理・運営実態を分析するとともに、前年度の研究では不十分であった奥御金蔵の果たした役割についても検討を加えた。また、全国各地に設置された米蔵のうちとくに畿内の米蔵について、設置の経緯・果たした役割を明らかにするための史料調査を実施して関係史料の収集につとめた。 今年度の研究によって判明した主な事柄は以下の諸点である。(1)元方御金蔵と払方御金蔵の二手に分かれていた蓮池御金蔵は文政3年に統合されたが、その理由は、支出後の金銭の返還をめぐる取扱いの混乱を回避することにあった。(2)蓮池御金蔵における金銀出納においては、「庭帳」とよばれる前日の事前打ち合わせ、「御金手形」の授受、記帳、金銀管理など、非常に煩雑な手続きがあった。(3)寛政3年、文化5年には蓮池御金蔵内での金銀の仕訳方法や帳簿記載方法に変更が加えられ、さらに天保10年には、関係帳簿の記載数値の不一致に関する原因究明を柱とする「御金蔵役所向御改革」が実施された。(4)奥御金蔵における金銀貨幣・分銅の出納状況を検討した結果、奥御金蔵の役割および機能は、(ア)臨時支出費の供給および余剰金の貯蓄、(イ)金銀比価の調節、(ウ)貨幣改鋳原料の供給、の3つであった。(5)畿内およびその周辺地域には、大阪城・二条城のほか難波、天王寺、高槻、淀、伏見、大津、水口、永原などに米蔵がおかれていた。このうち淀・伏見米蔵は元和五年頃、水口米蔵は天和二年に、高槻米蔵は元禄四年にそれぞれ廃止された。 なお、今年度においては、御金蔵に関する研究の一部として「江戸幕府貯蓄金銀と蓮池御金蔵」と題する論文をまとめ発表した。
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Research Products
(1 results)