1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610359
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
高木 俊輔 国文学研究資料館, 史料館, 教授 (90022186)
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Keywords | 農民日記 / 民衆生活 / 村落 / 生活史 / 全文テキスト / 島崎藤村 / 夜明け前 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、農民日記として注目され、最近公開されるようになったいわゆる「大黒屋日記」(原題「年内諸事日記帳」)の解読・筆記をすすめた。5月には、昨年の残り分である三分の一を読み終えたので、早速に全文入力を外注し、6月には入力したものが納入された。本研究が対象とするような日記史料は、入力分の校正・点検に多くの労力を要するのであるが、ここでは校正・点検をすすめる傍ら入力データを合体させ、日記全体の傾向性を把握することにつとめた。この「大黒屋日記」は総記事が42207項目におよび、これをもとにデータ取りの試みの段階に入った。ここでもデータ取り検索のモデルの検討をしてから、実際のデータ取りは謝金にて処理した。この段階でも、「大黒屋日記」が農民日記の中でどのうような特色を持つものであるかを明らかにするため、愛知県の著名な豪農である古橋源六郎の日記を採集し、比較検討を行った。その結果、村社会の日常性を記録したものとして「大黒屋日記」は、きわめて優れた内容を持つものであるとみてよいと、結論することができた。データの蓄積をすすめる途中においても、昨年分・今年分ともに誤字や入力ミスが少なからず見つかり、データ修正を行っているが、全文テキストの検索・データ取りをしているうちにも、当日記史料の性格が明らかになりつつある。その一部を、「農民日記史料の可能性」、「大黒屋日記にみる島崎家について」などとして発表をしたり、当史料館研究紀要に「農民日記史料論二」と題して発表した。引き続き人名・村名や用語による検索の結果は、村落生活史研究としてまとめるつもりである。
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