1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610368
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
松田 吉郎 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (30229497)
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Keywords | 華南地域社会 / 米穀需給・流通 / 開発 / 移民 / 鄭氏 / 倭寇 / 商人 / 官僚 |
Research Abstract |
本年度は特に広東広州・潮洲における生産・流通・土地所有構造及び華南における米穀需給・流通構造に関する論文の作成をめざし、研究情報、研究資料を収集し、分析した。 具体的には、4月〜6月には本学図書館を通じて『明代倭寇関係史料』、『台湾時報』、『中山大学学報』、『福建師範大学学報』等の文献より関係史料を入手し、7月には設備備品費を用いて『中国方志叢書広東省(第2期)』(成文出版社)161〜185を購入し、また同月には外国旅費を用いて台湾に出張し、台湾大学、台湾師範大学の研究者よりレビューを受けた。そして、10月には国内旅費を用いて大分大学経済学研究所に赴き、『台湾事情』等の文献より関係史料を入手した。 10月から3月までは以上の研究情報、収集資料を分析した。その結果、明代15世紀中頃、後期倭寇の活動がさかんであった時期に、安徽の官僚=商人=倭寇勢力と並んで福建の官僚=商人=倭寇勢力が台頭し、この福建勢力が福建、広東、台湾、日本、東南アジアの商品流通を担った。明末清初より、広東広州・潮州地域の官僚=商人=倭寇勢力も台頭し、やがて鄭芝龍・成功父子によってこの福建と広東両勢力が傘下に収められた。鄭氏によって華南地域開発、商品流通が運営されたが、17世紀後半に清朝によって鄭氏が降伏したために、以後は、清末まで福建勢力と広東勢力が華南地域の開発、米穀生産、商品流通をめぐって対立していたことが明らかとなった。 この分析結果をもとに広東広州・満州における生産・流通・土地所有構造及び華南における米穀需給・流通構造に関する論文を現在作成中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松田吉郎: "台湾の産業組合について" 台湾史研究. 14. 43-58 (1997)
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[Publications] 松田吉郎: "猪月勞束国語伝習所について" 教職課程研究. 8. (1998)
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[Publications] 松田吉郎: "嘉南大士川事業をめぐって-中島力男さんからの聞き取り資料をもとに" 兵庫教育大学研究紀要. 18-2. (1998)
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[Publications] 松田・吉郎: "日本統治時代台湾における農事実行小団体について-台南州の例-" 東洋史訪. 4. (1998)