1996 Fiscal Year Annual Research Report
西アジア垂直焔式土器焼成窯の研究-その発生・系譜・社会経済的役割-
Project/Area Number |
08610402
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
常木 晃 筑波大学, 歴史・人類学系, 助教授 (70192648)
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Keywords | 土器焼成窯 / 西アジア / 新石器時代 / ハラフ文化 |
Research Abstract |
本研究を構成する3つの柱のうち、本年度は(1)考古学的資料の集成と(2)民族考古学的成果の活用のためのデータ抽出を実施した。 (1)考古学的資料の集成 垂直焔式土器焼成窯の成立に深く関連すると推定されたピット窯、8の字窯を含めて、現在まで報告されている西アジアの新石器時代からウルク期にかけての土器焼成窯資料の収集をほぼ完成させた。これらの資料を、全形、燃焼室、焼成室にわけて細部の計測値を計り、データベース化するとともに、形状ごとの類型化を試みた。その結果、西アジアの土器焼成窯は、紀元前6千年紀初頭の単室構造ピット窯で始まり、同半ば頃に複室構造の垂直焔式窯が成立したこと、その転換には商品性の高い彩文土器などの製作の必要性が背景にあったことなどが判明してきた。また家内消費的な粗製土器は、ピット窯ないしは野焼きで製作され続けていたことも判明した。 (2)民族考古学的成果の活用 申請者が平成6年度に約半年間にわたって収集したシリアでの民族考古学的調査データの中から土器製作にかかわる部分を抽出し、現代の垂直焔式土器焼成窯の各部位の計測値や構造などのデータベース化を進めるとともに、窯ごとの土器生産量などを整理した。その結果、そうしたデータを用いて先史時代の土器焼成窯の生産量の推定を行うことができるようになった。ここでは、考古学資料集成時の見通しと同様に、垂直焔式土器焼成窯が商品的な土器生産と深い関わりを持って出現したことを強く推測させる結果が得られた。 以上のような見通しが本年の研究で得られたわけだが、次年度は第3の柱である(3)文献資料の渉猟を加えて、土器焼成窯の出現と発展にかかわる社会経済的側面の研究を進める予定である。
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Research Products
(2 results)