1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610444
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
千艘 秋男 東洋大学, 文学部, 助教授 (20103575)
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Keywords | 三條西実隆 / 雪玉集 |
Research Abstract |
本研究は、三條西実隆とその文芸活動を考察することを最終的な目的とする。実隆の文芸活動は多岐に亙るが、今回は特に和歌及び連歌の総合的考察に資するための基礎的な文献資料の整理を目指す。 主に冬季・春季休暇を利用し、家集『雪玉集』を中心に、実隆の文芸活動に関連のある文献資料を所蔵する特殊文庫・図書館・寺社・個人等を訪問し、和歌・連歌の諸本調査と資料収集、実隆自筆の文献資料及び関連資料の調査・収集に努めた。 『雪玉集』は実隆の家集として最も整備されたものであるが、基礎文献たる板本〔寛文10年(1669)板行〕の本文は、編纂時において相伝中に生じた誤写や脱落を有する伝本を底本としたために、不備な内容を踏襲する箇所も少なくない。 そこで、今回は『雪玉集』の諸本調査よりも、『雪玉集』板行以前の永正年間から霊元院時代までの約150年間に書写された諸本を重視し、その調査と資料収集に努めた。その主なものは『実隆公百首集』『聴雪集』『瑤雪集』『逍遙院詠草』『逍遙院百首』『瑤樹抄』等で、30数本の調査と資料収集を成し得た。その他、『一人三臣抄』『続撰吟抄』等も『雪玉集』の成立には大いに関係があり、これらの実隆関連の家集類の諸本調査・整理は来年度も続行して行う予定である。 板本と先行諸本の相関関係を究明するには、その発展過程を吟味する必要がある。そのために諸本間の本文対校は不可欠な作業であり、それは『雪玉集』の校本作成にも繁がるので、諸本調査と併行して、来年度はその基礎的な作業にも着手する。
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Research Products
(1 results)