1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610445
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小峯 和明 立教大学, 文学部, 教授 (70127827)
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Keywords | 未来記 / 野馬台詩 / 聖徳太子未来記 / 中世 / 注釈 |
Research Abstract |
本年度は最終年度に当たり、西日本を中心に進める予定だった調査は、予想外に学会などアメリカ出張が増えてしまったため、充分時間がとれず、七月に善通寺に調査に赴いたに止まったが、中世の未来記に関連する貴重な資料が発見できた。ほかには、金沢文庫・公文書館(内閣文庫)・宮内庁書陵部・静嘉堂文庫・東大史料編纂所・早稲田大学図書館等々、比較的身近な文庫・図書館に調査に行き、写真撮影や紙焼き写真やコピーなど複製資料を大量に収集することができた。 とりわけ金沢文庫では、従来知られていなかった東大寺関係の唱導資料群の中に聖武天皇にまつわる未来記が見つかり、おおきな成果をあげることができた。基本的には『聖徳太子未来記』に重点をおきつつも、関連して『野馬台詩』をはじめ、他の未来記らあわせて調査を進めることができた。また、中世以降の近世や近代にも未来記が影響を持ち続けていた具体相が浮かびあがってきた。今後は中世に限定せずに他の時代の未来記享受や創造とのかかわりにも目を配りながら検討していく必要がでてきた。 また、中世文学会の大会で講演を依頼され、「中世の未来記と注釈」で講演を行い、これも本研究のおおきな成果となった。次年度の学会誌「中世文学」44号に掲載される予定である。 これらの成果をふまえ、ことに未来記年表を作成、報告書を作成、それをもとに近い将来、出版する予定である。
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