1997 Fiscal Year Annual Research Report
トランスレーションとそのミニマルエンサクロペディアの記号論的解明
Project/Area Number |
08610472
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
船倉 正憲 東京農工大学, 工学部, 教授 (60040507)
|
Keywords | セミオーシス / インタプリテーション / トランスレーション / チクスト / リテラル / メタファー / ミニマル / エンサイクロペディア |
Research Abstract |
知識・情報の伝達・継承・蓄積のプロセスは記号過程(Semiosis)、すなわち解釈(Interpretation)と置換・翻訳(Translation)が一体となって起こる現象であり、これは言語内I-Tから起こって言語間I-Tに発展する。言語記号は知覚対象の精神イメージへの置換の置換として二重のモデリングを受けるために言語記号は字義的(Literal)であると同時に隠喩的(Metaphoical)でもあるという二重の性質を備えている。だが、記号として見た場合テクストの中核には置換・翻訳を可能にする要素があるから言語記号の等価性(同義性)が論考される。 こうしたL-Mの二重性質をもつ言語記号で構成されたテクストのI-Tを実行するには言語的、すなわち辞書(Dictionary)的知識とそれを補足する文化・世界的、すなわち百科事典(Encyclopedia)的知識が必要とされる。L-Mテクストの整合性のあるI-Tプロセスを引き出せる基底メカニズムを、読み手が二重階層をなすD-E間を上昇、下降の往還運動をするところに求める。このI-Tの効果は対象であるテクストの方向だけに起こるのではなく、D-E階層の方向にも起こる。 D-E階層はつねに拡張しつづける個々の解釈項の集合から成る集合であるから、つねに付加、削除を初めとする修正を必要とする開かれたテクストである。どんな辞書や百科事典もそれぞれ言語情報と文化・世界知識の全体を完全に映しだせるわけではない。その情報と知識のある特性だけを抽出し、限られた観点から、また限られた正確度で表記せざるをえないとしたら、D-E間双方向運動で求められる辞書のマキシマルな要件と百科事典のミニマルな要件はどう設定できるか。本論では現実の辞書と百科事典を考慮に入れながら、個人の精神内に内臓されているD-Eを理論的に推理し、仮説を構築し、最適な表記モデルを構築し、理論的に例証している。
|