1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610473
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
清水 徹郎 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (60235653)
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Keywords | シェイクスピア / マーロウ / オウィディウス |
Research Abstract |
平成10年度において研究代表者は、昨年度までの研究成果を発展させ、クリストファー・マーロウや初期のシェイクスピアらのオヴィディアニズムを、古代からルネサンスに至る演劇史の中で位置づける作業を中心に研究を進めた。今年度前半の一つの成果は、論文「ジョーヴの高空と緑の野…マーロウの劇場的宇宙」として、平成11年4月出版予定の『逸脱の系譜』(研究社出版)に収録されている。同論文はもともと平成8年に研究代表者が構想したものであるが、原稿のまま未刊であったものを、平成10年度前半までの研究成果を盛り込んで大幅に書き換えて出版するに至った。平成10年度後半は、マーロウや初期のシェイクスピアらの作品を、「悲劇」の概念を鍵にに比較考察した。その成果は、平成11年5月に開催される日本英文学会第71回大会のシンポジウム「マーロウ登場…クリストファー・マーロウと1580年代の演劇」(司会・玉泉八州男)の中で口頭発表する予定である。同発表では、とくに悲劇のアナグノーリシス(認知)のあり方に着目して、シェイクスピア悲劇のアナグノーリシスが概してメタファーか格言的モラルにとどまるのに比べ、マーロウ悲劇のアナグノーリシスは、芸術論的あるいはメタ演劇的であるか、性愛における価値観の多様性を提示しようとする傾向があるという事実を指摘することになる。オヴィディアニズムとの関連で悲劇のアナグノーリシスを考察し、演劇思想家あるいは芸術思想家としてのマーロウの側面を確認することになるであろう。
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Research Products
(1 results)