1997 Fiscal Year Annual Research Report
琉球諸方言における言語変化の社会的要因に関する基礎的研究
Project/Area Number |
08610520
|
Research Institution | Iwate university |
Principal Investigator |
大野 眞男 岩手大学, 教育学部, 教授 (30160584)
|
Keywords | 琉球方言 / 言語変化 / 社会言語学 |
Research Abstract |
琉球方言における言語変化の動向を動態的に把握するため、このような観点からの報告の少ない宮古諸島方言にしぼりこみ、主として次の2点において標記研究を遂行した。 1)臨地および通信調査による宮古諸島の言語意識の研究 2)臨地調査による宮古諸島の言語的ヴァリエーションの研究 1)においては、宮古の中心地平良において活躍層男子を対象に、宮古方言・沖縄方言・本土方言に関するイメージ調査を、臨地調査により得られた知見をもとにして通信調査の形で行った。この調査によって得られたデータを、大野・外間『ウチナ-グチ(沖縄方言)に対する意識調査報告書』(平成7年)で既に報告済みの那覇市におけるデータとつきあわせ、沖縄県の周辺地域としての宮古島の言語意識と県内の中心地としての那覇市の言語意識とを対比した。この結果、那覇市で在来の方言と共通語との間で生成された中間方言であるウチナ-ヤマトゥグチが、第三のヴァリエーションとして安定的に認知されているのに対して、宮古では中間方言の生成は同様に観察されるものの、那覇におけるほど独立のヴァリエーションとしての認知度は高くないことが判明した。 2)においては、言語変化のヴァリエーションの考察の前提として、過去の言語変化の結果として現存している宮古諸島諸方言の基礎的調査を、宮古本島北部の大神・狩俣方言・池間方言について行ない、DATによる良質な音声資料の作成した。このうち、大神・狩俣方言については、『宮古大神方言の音声-単語と文法-(付.狩俣方言)』(平成8・9年度科研費成果刊行書:CDおよび解説書)として刊行することができた。
|
Research Products
(1 results)