1997 Fiscal Year Annual Research Report
フォーカスの生成、知覚に関する生理・音響音声学的研究
Project/Area Number |
08610522
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桐谷 滋 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90010032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 喜久雄 国立国語研究所, 言語行動研究部, 主任研究官 (20173693)
新美 成二 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00010273)
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Keywords | 韻律的特徴 / 声帯振動 / 筋電図 / フォーカス / ボ-カルフライ |
Research Abstract |
日本人の特殊拍生成及び日本語学習者の日本語子音生成における時間パタンの計測とその音声の知覚実験を行なった。 1.日本人促音の時間パタン 日本語の閉鎖子音の単子音と促音は、閉鎖区間長になって区別されることは良く知られているが、こ こでは、その時間関係が話速によりどのように変化するかを検討した。3名の被験者に/ata/,/ita/,/aci/が話速を3段階変えて発話した音声を分析した結果、話速が4モ-ラ/秒から7.5モ-ラ/秒まで広範囲に変化しても、単子音と促音の閉鎖区間長の比は2.5〜3.5の範囲に極めて一定に保たれていた。促音の時間長が発音のリズム(平均モ-ラ長)をもとに精密に制御されていることが示唆された。なお、破擦音/c/については促音の制御はその閉鎖区間長によっており、摩擦音区間は、単子音と殆どで差がなかった。 2.日本語学習者の発話における日本語単子音の時間パタン 日本語学習者にとって促音の発音が困難なことは従来から指摘されているが、単子音の発音においても時間制御が正確でなく、促音に聴取される適合があると考えられたのでその点を定量的に検討した。仏,フィンランド,米,中,韓話者にcvcvcv及びcvcvvの3モ-ラ語の発話を記録し、時間パタンを計測すると同時に日本人による聴取実験を行なった。語長に対する第2子音の閉鎖区間長の比較を検討したところいずれの話者もその値は日本人より大きい。ただし仏,フィンランド語話者では日本人との差は小さく、その発音が促音に聴取されることはないが、米,中国語話者ではその差が大きく、促音に聴取される発話が約3割あった。米語ではストレスとの関係により閉鎖区間長が伸長する傾向が見られた。中国語では母語においてもVに対するCの時間長が長い傾向が示唆されたが、その機構についてはさらに検討を要する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Imaizumi: "Task-Dependent Laterality for Cue Decoding During Spoken Language Processing" Neuro Report. 9(in press). (1998)
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[Publications] S.Imaizumi: "Observation of Neural Processes of Auditory Scence Analysis by magnetoenphalography" Acta Otolaryngol.Suppl.532. 106-108 (1997)
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[Publications] M.Mochizuki-Sudo: "A Comparison of Acoustic Features in Perception of English Articles between Native Speakers of English and Japanese Learners" 音声研究. 1. 51-57 (1997)
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[Publications] 前川喜久雄: "フォーカスが下顎の運動にあたえる影響" 日本音響学会平成10年度春季研究発表大会講演論文集. 259-260 (1998)
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[Publications] 新美 成二: "喉頭の筋電図検査" JOHNS. 13・5. 795-797 (1997)
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[Publications] K.Maekawa: "Spontaneous Speech(Sagisaka et al ed.)NY Springer" Effects of focus on duration and vowel formant frequency in Japanese Computing Prosody: Computational Models for Processing, 377 (1997)