1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本人英語学習者による英語のリズムパターンの習得 -生成と知覚において-
Project/Area Number |
08610529
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
須藤 路子 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 助教授 (60226587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松野 和彦 東京大学, 教養学部, 教授 (90029679)
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Keywords | リズムパターンの習得 / 知覚パターンの比較 / 英語の弱形の知覚 / 生成と知覚 / 第二言語習得 / 実験音声学的手法 |
Research Abstract |
今回の研究は、日本人英語学習者によるストレスを担わないunstressed syllableの生成と知覚に焦点をあて、それがリズムパターンの習得にどのように影響を与えているかを実験音声学の立場から分析することを目的とする。日本人英語学習者による英語を聞き取りを困難にしている主要な音声要因の一つとしてストレスを担わない弱形の存在が挙げられる。弱形の一つである冠詞を取り上げて検討した結果、先行子音の無音区間の持続時間、冠詞の母音持続時間の二要素が日本人英語学習者による冠詞の聞き取りに大きく影響を与えていることが明らかにされた。さらに日本人学習者において観測された上記の音響要因が米国人母語話者による冠詞の聞き取りに関与しているかどうかを比較、検討した。実験1の無音区間加工聴取実験では、無音区間の長さを変化させ、冠詞の反応率を日本人英語学習者と米国人について測定した。実験2の冠詞持続時間加工聴取実験では冠詞の母音時間を伸縮し、冠詞の反応率を観測し、日本人と米国人の結果を比較、検討した。今回の実験においては、先行子音の無音区間の持続時間は日本人学習者と同じように米語母語和者の聞き取りに影響を与えている音響要因であるが、日本人学習者の聞き取りに影響を与えているもう一つの要因である冠詞の母音持続時間については、母語話者の聞き取りに全く関与していないことが明らかにされた。これは、日本人は冠詞の知覚において、時間制御のパターンに過度に頼っているが、母語話者の場合、冠詞の音質的特徴が知覚の重要な要素であるためと考えられる。
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Research Products
(1 results)