1996 Fiscal Year Annual Research Report
言語習得・言語変化における意味的普遍性の役割に関する研究とデータベースの開発
Project/Area Number |
08610530
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
白井 恭弘 大東文化大学, 外国語学部, 助教授 (70235729)
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Keywords | テンス / アスペクト / 動詞形態素 / 言語習得 / 言語変化 / CHILDES |
Research Abstract |
(1)幼児言語習得データの電子化については、岡山データの電子化をほぼ終了した。岡山データは、約2500ページに及ぶ幼児の発話データ(3、4、5才児の横断的データ)で、これをまずOCRを使ってよみとり、次に手作業により、読み取りの不完全な部分を修正しつつ、CHAT形式(国際的幼児言語データベースCHILDESで採用されている音声言語書き取り方式)に沿った形で、電子化をすすめた。近日中にCHILDESのデータベースに提供し、全世界の研究者が利用できるようにする予定。それと並行して、ある女児の縦断的データを収集中。(1歳5カ月より、月2回のペースで、録画・録音を続けている。)これも、前述のCHAT形式で書き取り、電子化をすすめている。こちらについては、もう少し時間がかかるが、将来的にはCHILDESに提供する予定である。 (2)データ分析については、今年は幼児言語の分析にしぼって、日本語の動詞形態素の習得、特にその出現におけるパターンについて、3名の幼児言語データ(Aki,Miyata 1995;Yocchan,Clancy 1985;Taachan 国立国語研修所1982)を詳細に分析した。その結果、幼児の最も初期の「た」の使用は、PERFECTの意味で使われており、過去時制をあらわすのは、もっとあとになるということがわかった。これは、PERFECTの「たり」が過去をあらわす「た」に変わってきた日本語の歴史的変化と呼応しており、「個体発生は系統発生を繰り返す」という一般原則にあてはまるようで、今後さらに他の言語などでの調査が必要である。なお、「ている」の出現については、大きな個人差が見られ、普遍主義的研究の流れに釘をさすような結果であった。 (3)今後は、幼児言語発達と、歴史的変化の比較を系統的に行い、「限界性、瞬間性、状態性」などの普遍的意味性分と形態素の文法化の関連を明らかにしていきたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yasuhiro Shirai: "Does accomplishment always have duration? The Dowty-VanValin system vs.the Smith System of inherent aspect" CLS. 32(印刷中). (1996)
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[Publications] Yasuhiro Shirai: "Is bioprogram necessary to explain the accuisition of teuselaspect morphology" 認知科学. 4(印刷中). (1997)
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[Publications] Yasuhiro Shirai: "Where the progressive and the resultative meet : A typology of imperfoctive morphology in Japanese,Korean,Chinese and English" Japanese/Korean Lingnistics. 7(印刷中).