1998 Fiscal Year Annual Research Report
情報伝達の流れから見た19世紀北方ユーラシアにおける言語改革
Project/Area Number |
08610531
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
池田 哲郎 京都産業大学, 国際言語科学研究所, 教授 (90140079)
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Keywords | 北方 / ユーラシア / 漂流民 / ハンガリー / アルタイ / トルコ / モンゴル / 満州 |
Research Abstract |
1. 〈情報伝達の流れ〉と〈19世紀北方ユーラシア〉と〈言語改革〉とから三者を総合的に見て、北方ユーラシアの〈言語的な事実〉と〈先進国および現地の近代知識人の動向と言語改革問題〉とを考察した。本邦初のアルタイ語概論を書き、言語学的におさえた。ヨーロッパ/ロシアと日本の近代とから北方ユーラシア地域をおさえつつ、村山七郎と野村正良の評価についても検討をおこなった。ハンガリーの言語改革の状況をおさえるために、ドナウ河言語連合を俎上にのせ考察した。これも本邦初の研究である。 2. 19世紀のトルコ世界の知識人と言語学者についてイスタンブールのイェディ・テペ大学のトルコ学主任教授のT.テキン教授より2年目に引き続きレヴューを受け、ここから19世紀のオスマン帝国地域およびカザン地域を考察しつつ、同時に、古代の突厥碑文からオスマン文献(19世紀直前)までについてほぼ概説した。とくに、19世紀から開始された突厥碑文について、19世紀から20世紀の学者の分析を吟味し、従来の研究を一新したと考えている。なお、純トルコ的な言語としての突厥研究は20世紀20年代の文字改革の時期に研究されており、トルコ語の文字規範の揺れを理解するためには絶好の素材である。 3. モンゴルおよび満州地域の詳細な文献データをまとめ、今後の研究の鍵となる〈膠着語文法〉について、近代モンゴルの知識人の指摘を再評価し、指摘をおこなった。 4. 具体的なデータによって新たに得られた知見:近代的な言語規範はハンガリーでは一般化する状態に達したが、トルコ、モンゴル、満州・ツングースの場合は言語規範を確立する胎動期にあった。
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[Publications] 池田哲郎: "他動詞性から見たハンガリー語とトルコ語" 日本ウラル学会『ウラリカ』. 11. 13-26 (1998)
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[Publications] 池田哲郎: "書評 小泉 保著。『ウラル語統語論』。東京・大学書林。" 日本ウラル学会『ウラリカ』. 11. 85-90 (1998)
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[Publications] 池田哲郎: "ハンガリー語の他動詞性について。ハンガリー語はなぜウラル語なのか?" 日本ウラル学会ウラル学会通信』. (印刷中). (1999)
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[Publications] 池田哲郎: "ドナウ河流域におけるハンガリー語の位置。ドナウ河言語連合について。" 京都産業大学『国際言語科学研究所紀要』. 1(印刷中). (1999)
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[Publications] 池田哲郎: "「格の機能的構造と北方ユーラシア」" 京都・昭和堂。平成10年6月出版。吉田金彦編『ことばから人間を』, 11 (1998)
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[Publications] 池田哲郎: "On Vowel Structures in the languages of the Xinganling Area" 北京・文史出版社。印刷中。『第2回中国北方古代学術検討会 論文集』, (1999)
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[Publications] 池田哲郎: "『アルタイ語のはなし An Introduction to Altaic Linguistics』" 東京・大学書林(印刷中), (1999)
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[Publications] 池田哲郎: "『モンゴル仏教文献の研究』" 池田哲郎(京都産業大学845号研究室) 科学研究費補助金を使用, 78 (1999)
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[Publications] 池田哲郎: "『トルコ語文献の研究』" 池田哲郎(京都産業大学845号研究室) 科学研究費補助金を使用, 186 (1999)
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[Publications] 池田哲郎: "『情報伝達の流れから見た19世紀北方ユーラシアにおける言語改革』" 池田哲郎(京都産業大学845号研究室) 本科学研究費補助金を使用, 134 (1999)