日本国憲法制定過程において、入江俊郎・佐藤達夫の果たした役割について

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08620013
• Research Institution: HOKKAIDO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 高見 勝利 北海道大学, 法学部, 教授 (70108421)
• Keywords: 天皇制 / 政教分離 / 議院内閣制 / 司法国家 / 松本委員会 / 宮沢俊義 / 入江俊郎 / 佐藤達夫

Research Abstract

本年度は、前年度から継続中の『法学教室』連載論文を完結した。すなわち、同誌に、「神の天皇から国民の天皇へ」(4月号)、「行政一致から政教分離へ」(5月号).「イギリス型議員内閣利の『慣行』から『成文化』へ」(6月号)、「行政型国家から司法権優位の体制へ」(7月号)、「文語体憲法から口語体の憲法へ」(8月号)を記載した。これによって、日本国憲法法制定前後の東京帝国大学法学部において、どのような内容の憲法講義が行われたかについて、実証的に解明できたものと考える。と同時に、本連載論文により、戦前の立憲主義的憲法学説が、新たな憲法制定に直面して、その基本的な枠組みをどのように維持しつつ、組み変えていったかを明かにしたものと思う。また、上述の作業と併行して、昨年度から続けている入江・佐藤両文書の整理を行った。今年度は、主として、松本委員会が調査研究のために収集した各国の立法例、各種の論文、民間の憲法改正案等についてその整理を試みた。88件の原資料について、内容・執筆者・入手経路等の調査を行い、配列を決めたうえで、印刷に回した。現在、校正(第二校)に入っており、また、解題の執筆作業に入っている。本年秋には公刊できると考えている。

Research Products

• [Publications] 高見勝利: "神の天皇から国民の天皇へ" 法学教室. 199号. 47-53 (1997)
• [Publications] 高見勝利: "政教一致から政教分離へ" 法学教室. 200号. 66-73 (1997)
• [Publications] 高見勝利: "イギリス型議院内閣制の「慣行」から「成文化」へ" 法学教室. 201号. 40-47 (1997)
• [Publications] 高見勝利: "行政型国家から司法権優位の体制へ" 法学教室. 202号. 49-58 (1997)
• [Publications] 高見勝利: "文語体憲法から口語体の憲法へ" 法学教室. 203号. 35-43 (1997)
• [Publications] 高見勝利: "日本国憲法制定資料全集(2)" (芦部伸喜・高橋和之・日比野勤共編)信山社出版(予定), 400 (1998)