1996 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ原子力法改正の動向と、その行政法理論への影響
Project/Area Number |
08620020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
首藤 重幸 早稲田大学, 法学部, 教授 (00135097)
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Keywords | ドイツ原子力法 / 行政規則 / エネルギー政策(ドイツ) / 損失補償 / 危険概念 |
Research Abstract |
高度科学技術的裁量を不可欠のものとする原子力行政の領域において、許認可やその他の監督手段の行使のさいの実質的基準となるのは行政規則(通達、通知、指針、基準など)である。 今年度の研究では、まず、ドイツ原子力行政における行政規則の制定手続に関する従来からの検討をさらに深めて、我が国のあるべき制定手続を考察した。さらに、実質においては法律よりも行政規則が上位にある状況は、法治主義の歴史から、いかに位置付けられるのかを検討した(この成果の一部は、後掲の「日本における法律の優位の現代的問題」において公表した)。 ついで、原子力行政における連邦政府と州政府の関係についての問題を、戦後のドイツ・エネルギー政策の展開と関連させながら検討した。とくに、原子力発電の推進政策をとる連邦政府と、その政策に反対する州政府との対立によって、原子力に関する政策と法が、どのような影響をうけたかを考察した(この研究成果の一部は、『ドイツ・ハンドブック』(早稲田大学出版)において公表する(本書は印刷中))。 ドイツ原子力法の改正問題の一つに、損失補償規定の削除というテーマがあった。ドイツ原子力法のなかには、事業者保護の観点から幅広く損失補償規定がおかれているが、その補償対象の多くを事業者の自己責任として考えるべきとの意見が高まるなかで、損失補償規定の削除が改正検討項目とされたのである。この損失補償規定の改定問題については、今年度は「危険概念」と損失補償問題との関係を中心に分析作業を行った。
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Research Products
(1 results)