1997 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ及び欧州共同体における権限配分原理としての補完性原理について
Project/Area Number |
08620023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of East Asia |
Principal Investigator |
高橋 雅夫 東亜大学, 法学部, 講師 (60226884)
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Keywords | 補完性原理 / 欧州共同体 / 地方自治 / 欧州連合 |
Research Abstract |
今年度は、ドイツ連邦共和国とEUにおける補完性原理の異同を考察することを通して、補完性原理が、わが国の地方分権にも導入可能な原理であることを明らかにすることが主たる目的であった。 ドイツとEUに関する考察の過程において、補完性原理を検討する際に明らかにしなければならない問題として浮かび上がってきたのが次の点である。すなわち、権限配分の状況において、同一の対象に対して、ドイツであれば、連邦と洲の、EUであれば、EUと加盟国の、それぞれの関与を並行的に認めるものであるのか否かという点である。この点についての原則的な状況を考えなければ、補完性原理の機能の仕方を、国家とEUの比較をした上で、同一次元で語ることが難しいと思われるからである。 EUとドイツの補完性原理の考察と並んで行ったのが、わが国の地方分権の状況に対する検討である。現在地方分権推進委員会が、4次にわたって勧告を行っているが、その中で分権の一つのキータームとして挙げられるものに「役割分担」がある。従来、国と地方公共団体の事務配分は機能的に分担され、同一の対象について、国と地方公共団体の関与が並行的になされていた。この点は、都道府県と市町村という地方公共団体間においても言えることである。このような並行的な関与を認めた上での事務配分が、役割分担という観点から、どのような変容を受けているのかを検討した。 来年度は、社会保障の領域を中心に、ドイツ国内及びEUにおける権限配分の状況を明らかにした上で、補完性原理の果たす役割を明らかにしたい。また、わが国の分権状況についてもさらに検討を加え、補完性原理導入の可能性を探りたい。
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Research Products
(1 results)