1998 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ及び欧州共同体における権限配分原理としての補完性原理について
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08620023
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Research Institution | The University of East Asia |
Principal Investigator |
高橋 雅夫 東亜大学, 法学部, 講師 (60226884)
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Keywords | 補完性原理 / 地方自治 / 地方分権 |
Research Abstract |
今年度は、補完性原埋の我が国への導入可能性を視野に入れた研究を主に行った。すなわちドイツ、欧州共同体、および日本における権限の配分状況(分権のパターン)について考察を加え、我が国において現在行われている、国・都道府県・市町村の各レベルへの事務の再配分に対して補完性原理の働く余地を検討した。 まず、ドイツにおいては連邦と州、州内の地方自治体それぞれのレベルで、補完性を考えることが可能である。特に連邦と州との関係においては、競合的権限を規定した憲法72条2項、74条等を手掛かりとして補完性原理が妥当する。 また、欧州共同体においても、その明文の規定においてあるように、共同体と構成国とが競合的権限を有する場合に、補完性ということが問題とされるのである。 したがって、我が.国へ補完性原理を導入する際には、異なったレベルの行政主体が競合的権限を持っていることが前提となると思われる。その点,我が国における「機能分担」的発想を手掛かりにすることができよう。 我が国との関連では、地方分権推進委員会の諸勧告および地方分権推進計画において指針的役割を担った「役割分担原則」に着目し、この原則と補完性原理との異同を考察することにより、我が国の地方自治への補完性原理導入や可能性を探った。役割分担原則自体には、国・都道府県・市町村といった各レベルでの行政の完結性を求めるとする見解もあるものの、従来の「機能分担」的発想を完全に払拭したものではないと思われる。したがって、役割分担原則の中に補完性原理を読み込むことにより、住民に身近な団体による施策が可能になると思われる。
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Research Products
(2 results)