1996 Fiscal Year Annual Research Report
国際連合による集団安全保障の法制度と冷戦後の実践に関する研究
Project/Area Number |
08620024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾崎 重義 筑波大学, 社会科学系, 教授 (00101585)
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Keywords | 国際連合 / 集団安全保障 / 国連憲章 / 国連軍 / PKO / 多国籍軍 / 軍事参謀委員会 / NATO |
Research Abstract |
(1)国際連合による集団安全保障の法制度面の研究としては、平成8年度は国連憲章の第43条、第47条ないし第50条の5ヶ条に関して、それぞれ立法過程、解釈論、国連発足後の実践について包括的な研究を行った。特に(1)国連憲章の予定していた「国連軍」の正確な全体像、(2)軍事参謀委員会を通じての安全保障理事会による国連軍の指揮コントロールについて、憲章制度のためのサンフランシスコ会議の議事録、安保理や総会の下の集団的措置委員会における討議や討議文書、ケルゼン・バウエット・セイヤステッド等の研究書などの分析を通じて詳細に検討を行った。そこでは、特に憲章第42条(軍事的措置)と第43条(特別協定)との間のリンケージ論に対して深い検討がなされた。この分野では、平成9年度は引き続き、憲章第39条ないし第42条、第44条ないし第46条という第7章の中でも核心的な諸規定の分析を進める。この成果は、『国連憲章コンメンタール』と題する書物の中の「憲章第7章」に関する章の中にまとめられて今明年のうちに発表される予定である。(2)冷戦後の国連による集団安全保障の実践に関する研究の分野としては、第一に冷戦後のPKO(国連平和維持活動)の実態と変容に関して分析を行い、次いで、冷戦終焉後に顕著に見られるようになった多国籍軍、NATOなど地域的国際安全保障機構の利用について、その実体を客観的に把握して、国連憲章法との一致やズレなどについて国際法的に分析することを目指して、今年度は客観的な現状分析を行っている。次年度ではこのデータに基づいて、(1)における研究成果をも踏まえて、PKOや多国籍軍など多角化する「国連による集団安全保障システム」の国際法的分析を行いたい。この研究成果は平成10年度中にも研究書として公刊する予定である。
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