1997 Fiscal Year Annual Research Report
国際連合による集団安全保障の法制度と冷戦後の実践に関する研究
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08620024
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
尾ざき 重義 筑波大学, 社会科学系, 教授 (00101585)
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Keywords | 国際連合 / 集団安全保障 / 平和維持活動(PKO) / 平和維持軍(PKF) / 一国内PKO / 多国籍軍 / 国連憲章第7章 / 司法審査 |
Research Abstract |
(1)冷戦の終焉後、国際連合による集団安全保障は、にわかに活気を取り戻した。冷戦期を通じて細々と継続していた国連平和維持活動(PKO)は、80年代後半以降、平和維持軍(PKF),監視団ともに数を増すとともに、それぞれが人員・予算・装備の規模を拡大し、活動も、平和強制、予防展開、選挙監視、国内秩序再建など多目的にわたるとともに、一国の内戦に介入するタイプのPKF(「一国内PKO」)が目立って増加している。このように、ポスト冷戦期に変ぼうを遂げ、活発化しているPKOの国際法・憲章法的側面を解明することが、平成8〜9年度を通じての研究の一つの大きな目標であった。 (2)この拡大PKOの研究と並行して、ポスト冷戦期の国連による集団安全保障にとって見逃せない現象は、「多国籍軍」の多用である。1991年の湾岸戦争、1992年のソマリア危機、1993年の旧ユ-ゴ内戦、1994年のハイチ、ルワンダへの派遣などがその例であり、それらはいずれも一定の成功を収めている。この「多国籍軍」は、これまでのPKO以上に、国連憲章上の位置づけが明確ではなく憲章の目指す集団安全保障から逸脱しかねない危険性を内に潜めている。この「多国籍軍」を国連憲章第七章のフレームワークの中にいかに取り込むのか、多国籍軍のプラクテイスの収集とその法的分析を二番目の研究の大きな柱に据えた。(1)、(2)については、単著の研究書としてまとめて、両三年内に、科研費の刊行助成を得て出版する予定である。 (3)PKO「多国籍軍」に関する実証的研究と並んで、この二年間の研究において力を入れたのは、国連憲章第7章(第39条から第50条まで)の逐条的研究である。憲章第7章が目論んでいた「国連軍」は、今日まで陽の目を見ることなく机上のプランに終っているが、冷戦の終った今こそこの「国連軍」実現こそ、国連による世界平和を強固にするための正道である現在第39条から第50条までの逐条解釈(コンメンタール)は、尾〓の手でほぼ完成に近づきつつある。
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[Publications] 波多野里望・尾〓重義: "国際司法裁判所判決と意見第二巻(1964-93年)" 国際書院, 544 (1996)
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[Publications] 広部和也(編著): "コンメンタール・国際連合憲章" 三省堂(予定), 1000 (1998)