1996 Fiscal Year Annual Research Report
大規模災害における被災建物をめぐる問題についての民事法的研究
Project/Area Number |
08620034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
安永 正昭 神戸大学, 法学部, 教授 (70025154)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 誠一 神戸大学, 法学部, 教授 (60134433)
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Keywords | 罹災都市借地借家臨時措置法 / 優先借地権 / 借地借家法 |
Research Abstract |
平成8年度は、罹災都市借地借家臨時措置法2条が定める優先借地権について、研究を行ない、以下のことを明らかにすることができた。 (1)罹災都市借地借家臨時措置法の立法経緯の研究からは、同法が優先借地権の成立を認めた目的として、第二次大戦後既にバラックを含めた建物を建設していた旧借家人の保護であることが明らかになった。そうすると、このような立法目的と、現在の状況とを比較すると、(1)第二次大戦後と現在の経済状況の著しい相違、および、(2)既に建設された建物の敷地に関する法律関係か、借家の敷地にこれから建物を建設する際の法律関係かの相違の2点で、大きく異なる。したがって、優先借地権を定める罹災都市借地借家臨時措置法2条の解釈においても、さらに、立法論的研究においても、このような立法目的と、現在の状況との乖離を充分に認識する必要のあることが明らかになった。 (2)立法論的研究では、(1)優先借地権制度を全面的に廃止した場合に、優先借家権制度によって、適切な法律関係を規律することができるかどうか、(2)優先借地権制度を大枠として維持するとして、どのような改正が考えられるかという2つの検討を行なった。(2)については、要件として、申込み拒絶に一定の要件を定める現行法の方法(請求権構成)から、申込みに一定の要件を定める方法(形成権構成)が考えられること、効果として、借地借家法23条の建物譲渡特約付借地権の優先的成立が考えられ、現行法において生じうる敷地所有者の過度の負担を避けることが可能であることが明らかになった。
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