1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08620035
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
岡本 詔治 島根大学, 法文学部, 教授 (60108777)
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Keywords | 土地所有権 / 景観法 / 建築権 |
Research Abstract |
本年度は土地所有権と景観問題について研究した。わが国でも、近年、景観の法的保護に強い関心が傾注され、行政主体もさまざまな観点からその保護をはかっているが、反面、私人の土地所有権(建築の自由)との関連もあり、法的には未解決の問題が多い。 すなわち、景観の破壊は開発・建築行為に起因するので、景観保護は開発・建築規則と裏腹の関係にあり、法律や条例による景観規則は土地所有権(建築権)の自由を制限する結果となる。しかし、土地所有権は憲法・民法で保障・保護されているので、景観の保護には「所有権の自由」との調和が求められている。現行法上、一般的に景観を保護する旨の規定は存在しないので、法所定範囲内の開発・建築行為が環境・景観の破壊を結果しても、それが適法な行為である限り、規制できないこととなり、わが国では、戦後における幾度かの開発ラッシュ時代に自然景観や歴史的景観が破壊されてきた。 自然景観や歴史的景観は地域社会の財産でもあったので、各自治体は開発規制指導要綱・条例でこれに対応してきたが、その反面、条例による一般的な景観保護すなわち一般的な建築権の制限は可能か、という難問に直面している。 本研究は、この問題を理論的に解決するための糸口を見つけ出そうとするものであり、現代の都市的土地所有のあり方を考える上で、格好のテーマともいえる。 本年度は、以上のような研究課題に取り組み、その成果を日本土地法学会全国大会(1997年11月)で公表した。いずれ学会の機関誌に登載されるはずである。
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