1996 Fiscal Year Annual Research Report
民事訴訟における証明責任を負わない当事者の事実陳述=証拠提出義務
Project/Area Number |
08620038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
松本 博之 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70047380)
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Keywords | 民事訴訟法 / 証明責任 / 当事者 / 事実陳述義務 / 証拠提出義務 |
Research Abstract |
本研究は、民事訴訟の審理において何が当事者間に真に争いのある事実であるかを明らかにするうえで、原告にはどの程度具体的な事実の主張が要求されるべきか、被告は原告の事実主張に対して具体的事実の陳述をしないで単にこれを否認すること(単純否認)が許されてよいか、また、いかなる範囲で許されるかという問題を研究対象とするものである。これは、民事訴訟の審理の構造の問題を再検討することに他ならない。証拠調べを集中して行い充実した判決をするためには、真の争点の発見がきわめて重要だからである。 この研究目的を達成するため、平成8年度は必要な文献・資料の収集に全力を尽くしたことは言うまでもない。判例の変遷(とくにドイツの判例)を明らかにすべく、詳細な判例研究とドイツの学説の検討を行った。次に、ここから得られた知見をもとに、日本の判例において、数は多くないが、最近見られるようになった「証明責任を負わない当事者の主張・立証の必要」という概念(典型的には、伊方原発訴訟の最高裁判決、最判平成4年10月29日民集46巻7号1174頁)が理論上どのように位置づけられるべきで、どのような要件のもとで承認されうるか、義務違反の場合にどのような法的効果が生ずるか、さらに、この義務は営業秘密やプライバシーの保護との関係でどのように扱われるのか、といった極めて実務的意味の大きい、かつ理論的な問題を検討した。助成された研究費は、ドイツの判例・文献等の収集のための出張費用や複写費用ならびに資料整理のための補助作業等に充てられた。研究の成果の一部はすでに公表した。
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Research Products
(2 results)