1998 Fiscal Year Annual Research Report
社会福祉の民営化に伴う福祉労働の多様化に関する労働法学的研究
Project/Area Number |
08620041
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Research Institution | IWATE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
砂山 克彦 岩手大学, 人文社会科学部, 教授 (20004004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 紘一 山形大学, 人文学部, 教授 (90007146)
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Keywords | 福祉労働 / 民営化 / 雇用形態の多様化 |
Research Abstract |
本研究は、老人福祉施設における民間委託の実態と認可・無認可保育所の実態を調査し、そこにおける福祉労働の多様化のなかで、いかなる法的な紛争が起きているか、また起きる可能性があるかを調査することにより、福祉施設、福祉労働者、福祉サービスの受益者相互の法的関係を雇用就労形態ごとに明らかにすることを目的とする研究である。 雇用形態の多様化については、正規雇用のほかに、パート、臨時、嘱託といった非正規雇用が相当数おり、県によっては民間の社会福祉施設の全従事者の35%にも上っていることが明らかとなった。また、業務の一部を外注・下請けに出すケースも多く見られる。さらに今後派遣形態の労働者が増加することが予想される。これらの雇用形態の違いによって、社会福祉施設の労働者に対する指揮命令関係が異なったり、労働条件が異なったりすることから生ずるトラブルも予想され、今後その防止策と、トラブル発生後の解決基準について検討されるべきである。 また、福祉労働の法律関係については、社会福祉法人を認可して福祉サービスを委託する場合も、無認可保育所を認可して保育業務を委託する場合、社会福祉事業団の設立を認可して福祉施設の運営を委託する場合、ホームヘルパー派遣事業のような個々の福祉サービスを社会福祉協議会や特別養護老人ホームなどに委託する場合では、それぞれ法律関係が異なりうることが明らかになった。これらの法律関係をもとに、さらにそこで働く福祉労働者と、福祉サービスの利用者をも含めた法律関係の解明が今後の課題としてある。
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Research Products
(2 results)