1996 Fiscal Year Annual Research Report
分権体制下の地方中核都市における中心市街地の再生法制の研究--新潟市を例に
Project/Area Number |
08620042
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
寺尾 仁 新潟大学, 工学部, 助教授 (70242386)
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Keywords | 地方都市 / 中心市街地 / 商店街 / 土地利用 / 再開発 / 地方分権 / 都市法 / 新潟 |
Research Abstract |
今年度は研究初年度として、i)新潟市の中心市街地、とりわけ商店街の土地利用の変化の特徴の把握とii)地方分権の実現過程の理解に重点を置いた。 その結果以下の知見が得られた。i)については中心商店街の衰退が改めて確認された。その原因のひとつは、商業のみならず住居、事務所といったさまざまな都市機能の郊外化にある。しかし近年。中心商店街の中心を若干はずれたところに、趣味性の高い若者向け衣料品店や輸入家具店の立地が急増している。これらの商店は、雑誌やカタログによって商品情報を収集し、おおむね購入の意思決定をしたうえで来街・来店すること、大量に購入する商品ではないので必ずしも車で来店しなくともよいこと等の理由により、郊外の大ショッピング・センターではなく、むしろ交通の便が良く、集客力の高い中心商店街に立地することが多い。しかし店舗の床単位の売り上げはそれほど高くないので、中心をややはずれて空き店舗が目立つ賃料の安い物件の多い区域に集まり、表通りから奥へ入った場所へも出店することがわかった。 ii)については地方分権推進委員会の作業を確認し、多くの研究者や実務家と意見交換・研究打ち合わせを繰り返したが、現在の地方分権へ向けての作業は、国の権限をそのままの形でひとつずつ地方公共団体へ委譲することの是非を検討していることがわかった。 来年度に向けて、i)で発見したような商店の立地を促進するための法制度の可能性、さらには都市機能の郊外化に対抗して中心部に回復すべきかつ可能な機能の想定、それらを可能とする地方分権のあり方を検討したい。
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