1996 Fiscal Year Annual Research Report
Governanceの研究-英独仏の研究を中心として
Project/Area Number |
08620052
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 進 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (40009840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 洋平 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助手 (90242065)
城山 英明 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (40216205)
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Keywords | カバナンス / EU / 国際機構 / 政治指導論 / グローバル化 / イギリス / フランス / ドイツ |
Research Abstract |
Governance(「統治」)概念の包括性・超領域性は、裏返せば、その輪郭が極めて曖昧かつ多義的であることを意味する。従って本研究の第一段階では、各研究分担者が各々の担当領域で英仏独の当該分野の研究文献を精査し比較検討することによって、この概念の基本的定義・内容を確定し、その分析上の有効性を確認した。 その上で、まず国際政治学の分野においては、1986年の「単一議定書」以後、環境・安保・通貨財政・福祉など多くの政策分野で急速に「統治」の過程が進んだEUヨーロッパ連合が主として分析された。その最大の課題はまず、各国政府機関、EUレベルの機関、EU外の国際機関や条約体等が織りなす、複雑に交錯した公式・非公式のアレンジメントの総体を政策分野毎に析出し、調整・統合の主体と過程を確定していくことであった。 国際行政学の分野においては、これまで国家間関係やトランスナショナルな関係から切り放して捉えられてきた国際組織・機構(航空・通信など)を「グローバル・ガバナンス」の観点から捉え直した上で、その作動様式と機能とを明らかにする成果を得た。 以上のように捉えられたガバナンスの地域化・グローバル化の現実を踏まえた上で、本研究の目的に沿い、国家・個別政府の役割を再規定し、その行為能力の再編を図る制度的・機能的デザインが模索された。その準備作業として、政治指導論の観点から、英独仏各国において80年代以降それぞれの形で展開されてきた経済・社会、そして政治・行政に関わる構造的問題への取り組みが、行政学の政策分析と提携しながら、分析された。 その結果、国民国家の枠の内外でガバナンスの構造が複雑化する中で、一国レベルのアクターが困難な再編過程を実現するに至った政治的リーダーシップと、その制度的・政治的基盤とが徐々に明らかになってきた。
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Research Products
(2 results)