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1997 Fiscal Year Annual Research Report

私的所有権の生成と発展の動学モデル分析

Research Project

Project/Area Number 08630004
Research InstitutionCHIBA UNIVERSITY

Principal Investigator

榊原 健一  千葉大学, 法経学部, 助教授 (30187009)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 須賀 晃一  福岡大学, 経済学部, 教授 (00171116)
Keywordsホッブス / 社会契約 / 自然状態 / 国家 / 動学モデル / 私的所有権
Research Abstract

本研究はホッブス的な社会契約論に基づき、所有権の保護を目的とする国家の、自然状態からの生成と発展を、経済環境との関連でゲーム論による動学モデル分析を行なった。そして国家成立の条件を富の蓄積との関連で明らかにした。このモデルに依拠して動学化を試み、国家による富の蓄積経路を分析した。そして主要な結論として以下の知見を得た。
(1)自然状態において混合戦略ナッシュ均衡を求めたところ、2種類の解か得られた。第1の解は、社会の全ての人が確率1で生産活動に従事し、だれも防衛や窃盗は行なわない(平和状態)というものであり、第2の解は、少なくとも1人の活動が正の確立で窃盗になる(戦争状態)というものである。これらの解は社会の富の蓄積によって決定される。すなわち、蓄積が一定水準以下の場合には前者の解になり、それ以上の場合には後者の解になる。
(2)戦争状態において民主制国家生成の可能性を分析した結果、その成立条件が、人々の富の分布が比較的平等であることであることが示された。この結果は、社会哲学の分野で通常は仮定されている平等主義的な価値基準が、国家成立の条件として導かれることを示している。
(3)国家の成立によって富の平等化が必ずしも導かれず、不平等が拡大するケースの存在が見られた。国家の成立によって社会の富の分布は影響を受け、将来の国家存立の条件が変化する。そこで、上記のモデルに世代間の所得移転を導入することにより動学化し、国家の長期的な影響を分析した。すると、一旦成立した国家の永続性は導かれないことが示された。この結果は国家存続の条件としての所得再分配の重要性を示している。

URL: 

Published: 1999-03-15   Modified: 2016-04-21  

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