1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08630011
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Research Institution | CHUO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
古郡 鞆子 中央大学, 経済学部, 教授 (90173533)
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Keywords | 人的資源 / 潜在労働力 / 就業希望者 / 非典型雇用 / コンティンジェント労働 / 仕事への距離 / 生活と仕事の両立 |
Research Abstract |
労働の供給制約が少子化や高齢化によって将来的に強まるとすれば、未活用の人的資源を労働予備軍として考えていくことがわが国の経済にとっての重要課題の一つになる。その大きな労働予備軍の一つが女性の潜在労働力である。 女性の潜在労働力は就業者(または有業者)の中の追加就業希望者(第一のタイプ)と非労働力人口(または無業者)の中の就業希望者(第二のタイプ)に存在し、とくに第二のタイプに多くみられる。しかし、第二のタイプの就業希望者には実際に仕事があってもすぐ就けるかどうかわからない者もいる。労働力資源の活用可能性には「即就業可能」かどうかが問題になる。そこでか“仕事への距離"を考えて、非労働力人口の中の就業希望者(第一段階)のうち「いま、仕事があればその仕事にすぐ就くことが出来る」者(第二段階)、さらに第二段階の者のうち「過去半年間に求職活動あり」の者(第三段階)に分けて、それぞれが非労働力人口に占める割合をみると、第一段階の者は26%となるが、仕事への距離がより短いと考えられる第二段階の者は3%、第三段階の者は1%未満と少ない。 就業意欲を持ちながら“仕事への距離"が長くなる原因は、税制や賃金体系、雇用環境、家庭環境にある。“仕事への距離"を短くするためには、社会、企業、家庭のそれぞれの場での女性労働力の有効活用に向けた取り組みが必要となる。社会の場では、税や社会保障の制度の個人化や柔軟化を図ること、企業の場では、増加しつつある非典型雇用やコンティンジェント労働を今日の‘正規“の就業形態として正当に認識し、労働時間に応じた適正な処遇と身分の保証を行う努力を払っていくこと、家庭の場では、育児や介護を男女の別なく行うことが大事である。 潜在労働力を放置しておくことは人的資源の遊休を意味し、社会全体にとって経済的損失である。女性労働力の有効活用ができるか否かは、働き方のいかんを問わず就業に関する条件をできるだけ統一化したり、生活と仕事の両立を可能にするような環境をどう整備していくかにかかっている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 古郡鞆子: "産業構造の変化と多様化する雇用形態" 日本労働研究雑誌. No.447. 29-38 (1997)
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[Publications] 古郡鞆子: "働くことの経済学" 有斐閣(5月刊), 250 (1998)
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[Publications] 古郡,小池和夫,江頭年男,成瀬健生,桐村善次: "日本的経営と人事戦略の変革(仮題)" ダイヤモンド社(5〜6月刊予定), (1998)