1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヘンリー・C・ケアリ-の“アソシエーション"とアメリカ・コ-ポラティズム
Project/Area Number |
08630012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
高橋 和男 立教大学, 経済学部, 教授 (30097224)
|
Keywords | ヘンリー・ケアリ- / アソシエーション / アメリカ体制 / コレクティヴィズム / 自発的結社 / 結社の自由 / 株式会社 / 自発的協力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アメリカ文明において株式会社が占める重要な地位とアメリカ・コ-ポラティズムの自発性という特質を、19世紀アメリカの代表的な経済思想家ケアリ-のアソシエーション論を手掛りに、論証することであった。 一般株式会社法と有限責任原理の導入が一部の州で始まった1838年に公刊されたケアリ-の『経済学原理』(第2巻)は、株式会社制度の基礎である有限責任を、合衆国憲法の「結社の自由」に立脚して主張し、株式会社を市民の自発的協力と相互信頼の実践の場として捉えた。J.S.ミルが、労働者階級の地位の改善と人間的資質の向上をはかる手段として株式会社を評価する以前のことである。 たしかに、アメリカにおける自発的結社(アソシエーション)の意義を指摘した功績はトクヴィルに帰せられるが、今日新制度学派を成すO.ウイリアムソンやH.サイモンらが旧制度学派のなかで最も高く買うJ.R.コモンズは、ケアリ-だけが「自発的結社の実行可能な形態を捉えた」と評価した。事実、しばしばケアリ-らとともに「アメリカ体制」派に括られるD.レイモンドは、アメリカで最初のその経済学原理において、アダム・スミス同様株式会社を批判していたし、フーリエ主義者ブリスベインは全く異なる「アソシエーション」構想を携えてやがて登場したのである。 自発的結社としての株式会社は、ニューイングランド植民地のタウン自治というコレクティヴィズムに源流を持つというのが、ケアリ-研究を通じて得た結論である。ペンシルヴェニア憲法制定会議(1837-38;1872-73)における一般株式会社法制定についての州内世論の動向を分析し、上記の知見を相対化するのが次の課題である。
|
Research Products
(1 results)