1997 Fiscal Year Annual Research Report
ヘンリー・C・ケアリ-の“アソシエーション"とアメリカ・コ-ポラティズム
Project/Area Number |
08630012
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 和男 立教大学, 経済学部, 教授 (30097224)
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Keywords | ヘンリー・ケアリ- / アソシエーション / 株式会社 / 有限責任 / 信頼 / フリー・バンキング / 1837年恐慌 / コ-ポラティズム |
Research Abstract |
本研究計画にかかわる直接の成果は別紙記載の論文だけである。本論分「ヘンリー・ケアリ-の初期信用思想」は、自発的結社としての株式会社の有限責任制と一般会社法の法制化を説くことによって、いわば仏を作ったケアリ-が、同時に、銀行設立の自由化(free banking)を提唱することによって、いわば魂を入れた点を、明らかにしたものである。社会的結合の道具としての貨幣あるいは銀行制度、「信頼」にもとづく銀行券の発行、というケアリ-の貨幣哲学に彼の「アソシエーション」思想の精髄が見られる。 当初の年度計画ではペンシルヴェニア憲法改正会議(1837-8;1872-3)議事録を通じて株式会社解禁の是非をめぐる世論動向を分析する予定であったが、膨大な量の資料を入手、整理し、ノートをとるだけで手一杯で本格的な分析は他日を期したい。 諸個人の経済活動の自由を「結社の自由」としても憲法によって保障することで、競争的個人主義の行きすぎを、政府=国家が一元的に規制するというよりむしろ株式会社、労働組合、企業家団体、慈善団体等のさまざまな中間団体(=自発的結社)の協調行動を通じて、いわば「民間の自律」によって、規制する「アメリカ・コ-ポラティズム」の源流をケアリ-に求めたのは制度学派の祖J.R.コモンズであった。最近のニューディール研究はそうしたアメリカ型コ-ポラティズムを「アソシエ-ショナリズム」と呼んでいて、近刊の概説書(『経済誌』東京堂出版、2月刊行)において筆者は担当章「戦間期の世界経済」をこのような観点から執筆している。
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Research Products
(1 results)