1996 Fiscal Year Annual Research Report
産業構造転換期における鉄鋼業のリストラクチャリングと重層的労働編成
Project/Area Number |
08630029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 保茂 北海道大学, 教育学部, 教授 (40003959)
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Keywords | リストラクチャリング / 労使関係 / 分社化 / 出向 / 多能工化 / 自主整備体制 |
Research Abstract |
1.本年度は、本社等からリストラクチャリングの全体像を聞き取り調査すると同時に、製鉄所レベルでは旧製鉄所およびその下請を中心に調査・資料の収集を行った。 2、新日鉄の最も新しい合理化は、平成8年11月に発表された主務職(ホワイトカラー)と技術職(ブルーカラー)の区別をなくし、それにともなって賃金体系を変更しようとするものである。公式的には、この発表後に労使間の協議に入ることになっているが、実際には発表以前から水面下で労使協議が進んでおり、鉄鋼業における労使関係の「安全性」の今日的特徴をみることができる。 3、旧製鉄所では設備面での「リストラ」の進行が著しく、とくに室蘭製鉄所では製鉄部門をはじめ、多数の部門の下請移管・分社化が進み、出向率は7割にも達している。今後さらに、製鉄所に残されている工場(圧延部門)の全部を下請・分社に業務移管する計画も考えられている。もしもそのような事態になれば、建設大手ゼネコンのような「ブルーカラーは管理するが雇用せず」という構造に限りなく近づくことになる。 4、製鉄所における合理化の一つの方法である「多能工化」の進展度は、旧製鉄所においても最も著しいが、その一つの在り方がラインマンにも整備を兼務させる「自主整備体制」の導入である。しかし、本工の「多能工化」に比べれば、社外工のそれはさらに進んでおり、下請構造の下方にいくにしたがい「多能工化」をはじめとする合理化の進展が著しいことが分かる。 5、平成9年度の調査は、新鋭の君津製鉄所とその下請の調査が中心であるが、平成8年度に予定していて、相手側の都合で調査できなかった大分製鉄所(新鋭製鉄所)の調査を加えて実施する予定である。
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