1997 Fiscal Year Annual Research Report
「体制転換」期ロシアにおける経営主体の形成と経済教育
Project/Area Number |
08630039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
岡田 進 東京外国語大学, 外国語学部, 教授 (60014445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 啓子 一橋大学, 社会学部, 教授 (20107155)
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Keywords | 経済改革(ロシアの) / 教育改革(ロシアの) / ジェンダー / エスニシティ / 生涯学習 / 労働者自主管理 / 従業員所有企業 / コ-ポレイト・カヴァナンス |
Research Abstract |
本年度は、代表者(経済担当)分担者(教育担当)ともに、ロシアを訪れたさい、本研究課題についても調査したが、文献研究からだけではわからなかった新しい知見が得られた。まず代表者は、本年度に予定された課題の労働者所有企業の現状把握に関して、訪問した高等民営化企業活動学校の研究者から、その実態と現在準備中の労働者所有企業法草案の画期的な内容を知ることができた.またそうした企業のいくつかを訪問しようとしたが、一つは通常の株式会社となり、一つは市当局の破産管理のもとに置かれるなど、現下の経済機器のもとでこの形態も万能ではないことを理解することができた。分担者は本年度計画課題にしたがってロシアの女性企業家の実態を調査し、欧米に比べてその割合も小さく、ロシアの市場経済化にともなう固有の困難を抱えてはいるが、女性ならではのセンスで独自の企業活動を展開している実態を知ることができた。また分担者は、市場経済化の比較の視点から、ベトナム共和国を訪問したさい、「経済改革と教育改革」のテーマで報告し、研究者のレビューを受けた。民営化が先行しているロシアと国有企業改革に重点を置くベトナムとでは経済教育の組織方法でも相違が生じるとの新たな知見が得られた。 同時に、初年度に引続き、文献資料の収集とその分析を行い、代表者は、ロシアの民営化過程の特質および民営化企業の所有構造とコ-ポレイト・カヴァナンス、企業行動などを、現在準備中の単著書の中で展開し、市場適応力が弱く、国家依存体質で、温情主義的労便協調主義を残すロシア独自の企業タイプを検出した。分担者はジェンダー、エスニシティ関心から生涯教育としての経済教育に注目して論文を執筆するとともに講演会などを通じて研究成果の一部の社会還元をも行なった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 関 啓子: "教育改革にもう一つのロシアを読む" 一橋論叢. 118巻4号. 27-45 (1997)
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[Publications] 関 啓子: "ロシアの教育の現状と課題" 教育総研年報. 97号. 113-120 (1997)
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[Publications] 岡田 進: "新しい社会主義像とロシアの移行経済の展望" ロシア・ユーラシア経済調査資料. 777号. 26-35 (1997)
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[Publications] (翻訳)岡田 進: "L.アバルキン「世紀末ロシア経済の展望」" ロシア・ユーラシア経済調査資料. 778. 2-9 (1997)
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[Publications] (翻訳)岡田 進: "S.コールベヴァ「ロシアの金融産業グループの多国籍化」" ロシア・ユーラシア経済調査資料. 780. 11-20 (1997)
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[Publications] (翻訳)岡田 進: "N.シュメリョフ「支払不履行-ロシア経済のNo.1の問題」" ロシア・ユーラシア経済調査資料. 784. 2-15 (1997)
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[Publications] 関 啓子: "情報総覧現代のロシア(共同執筆)" 大空社, 695 (1998)
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[Publications] 岡田 進: "情報総覧現代のロシア(共同執筆)" 大空社, 695 (1998)