1996 Fiscal Year Annual Research Report
中国における社会主義経済システムの解体と労働者階級の形成
Project/Area Number |
08630046
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上原 一慶 京都大学, 経済研究所, 教授 (60052544)
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Keywords | 企業淘汰メカニズム / 赤字共同負担の連鎖構造 / 資産負債率 / 競争の激化 / 市場占有率 / 固有資産管理・運営機構 / 持株会社 / 再就業工程 |
Research Abstract |
(1) 従来の社会主義経済システムの中核であった国有企業の改革の現状、及び改革の過程で顕著になってきた国有企業の経営悪化の実態と原因について検討を行った。改革の面では、今日、1000社ほどの国有大中型企業の経営立て直しを国家が支援し、その他は実質的に民間に委ねる改革方向が明確になってきていること、を明らかにした。また経営悪化の面では、96年第1・四半期に、改革・開放以来はじめて、利益計上企業の利益額を赤字企業の赤字額が上回ったことを踏まえ、その原因は企業淘汰メカニズムの欠如を中心とする、高資産負債率、赤字の共同負担の連鎖構造(企業淘汰を行えない現状で、債権回収が不可能であり、最終的には相対的に良好な企業が赤字企業の赤字を負担せざるを得ない構造)、非国有企業、外資企業の参入による競争の激化、等の複合要因にあることを、を明らかにした。 (2) 国有企業改革の過程で、余剰人員の削減問題、彼らの再就職問題が重要な課題となってきているが、その現状に関して、96年9月9〜28日、上海、潘陽で現地調査を行った。調査では、削減された労働者では、女性が多く、36歳以上の年齢のものが多く、学歴が低いものが多いこと、彼らの多くは、大躍進、3年連続の自然災害、文化大革命の時期に青春期を過ごした、いわば政治に翻弄された人々であることが明らかになった。また各地では「再就業工程」という名の再就職促進政策が打ち出されているが、財政的に豊かな地域(上海)に比べ困難地域(潘陽)では容易ではないことが明らかになった。 (3) 労働制度改革に関する資料整理を行った。
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Research Products
(2 results)