1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国における社会主義経済システムの解体と労働者階級の形成
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08630046
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
上原 一慶 京都大学, 経済研究所, 教授 (60052544)
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Keywords | 既得権益 / 「抓大放小」 / 監察特派員制度 / 中央大型企業工作委員会 / 一時帰休(下崗) / 再就職サービスセンター / インサイダー・コントロール / 「政治的核心としての党の役割」 |
Research Abstract |
(1)1998年に開かれた第9期全国人民代表大会第1回会議は、国有企業改革、金融制度改革と行政機構改革の「三大改革」をそれぞれ3年前後の時間をかけてやりとげることを提起するとともに、「一時帰休者の再就職と生活保障の仕事を立派に推し進めることは、今年の政府の際立った任務」と強調した。 (2)国有企業改革の面では、繊維、冶金等の不況業種におけるリストラ、赤字国有大中型企業の赤字脱却工作、および重点企業、企業集団の育成が行われてきた。一時帰休者に対しては、一時帰休者のいる国有企業に再就職サービスセンターを設立し、そこか基本的生活保障、再就職等の機能を果たすことが急がれた。この運営費は企業、社会(失業保険基金の一部補助を含む)、財政がそれぞれ1/3ずつ出すことで解決することが目指された。 (3)アジア金融危機および国内の経済不況の状況下にもかかわらず、不況業種のリストラは進展した。しかしその実施の実態は、企業の自主的な行為としてではなく、政府行政部門の行為として行われており、行政と企業の分離という改革の目的とは逆行するものであった。リストラの進行による一時帰休者の増大に対して、再就職サービスセンターの設立が進展し、一時帰休者の基本生活保障はなされている。しかしそもそも経営が困難であるから一時帰休者を出さざるを得ない企業に、サービスセンターを運営させる矛盾を内包しており、この矛盾は特に内陸地域、旧工業地域(東北)では顕著であった。重点企業の育成に関しては、国家による監察特派員の派遣、中央大型企業工作委員会の設立など党、国家による経営監督が強化された。 (4)今日の中国の改革は、国有企業をめぐる既得権益の調整・解体過程にあるが、既得権益を維持する党と、解体される労働者との差異が明瞭になりつつある。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 上原一慶: "国有企業改革の現状と課題" 『中国等アジア市場経済移行国の経済実態調査報告集』(財)日本総合研究所. 1-19 (1998)
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[Publications] 上原一慶: "マクロ経済の現状と都市部の成長産業" 『中国の国内市場』日中経済協会. 76-89 (1998)
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[Publications] 上原一慶: "総論-いくつかの問題提起を兼ねて" 『中国国有企業改革研究会報告集』日中経済協会. 9-25 (1998)
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[Publications] 上原一慶: "江・朱新体制 国有企業改革に立ちはだかるこれだけの難関" 世界週報. 6月16日号. 8-14 (1998)
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[Publications] 上原一慶: "所有制構造改革と国有企業改革のゆくえ" 中国21(愛知大学現代中国学会). 臨時増刊号. 65-82 (1998)