1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08630061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石黒 馨 立命館大学, 経済学部, 助教授 (20184509)
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Keywords | 国際通貨 / 通貨権力 / 覇権システム |
Research Abstract |
本研究の目的は、権力の分散した覇権後の国際システムにおいて、いかにして信頼性のある国際通貨体制を形成・維持するのか、という点について明らかにすることである。特に、覇権安定期と覇権後退期における国際通貨の変動についての理論的・実証的研究をもとに、覇権後の国際通貨安定の条件について検討することを主要な目的としている。 本年度は、覇権安定期と覇権後退期における政治権力と国際経済、とくに通貨権力と国際通貨の安定との関係について理論的に検討した。この分野における従来の文献の調査を行い、政治権力の集中・分散と国際通貨の安定との関係、特に第2次世界大戦以降のアメリカのもとへの通貨権力の集中・分散とブレトンウッズ体制やドル体制との関係について検討した。 覇権システムのもとでの国際通貨の安定-パックス・アメリカ-ナのもとでの国際通貨ドルの安定性-は非対称的な通貨権力のもとで行われた。覇権後の国際システムでは複数の国家が対称的な通貨権力をもつが、各国間の情報は必ずしも対称的ではない。このような国際システムにおける国際通貨の安定条件を不完備情報下の動学ゲーム理論によって検討した。
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