1996 Fiscal Year Annual Research Report
17世紀世界経済とオランダ商人ブルラマッキ家の経済活動に関する経済史的研究
Project/Area Number |
08630067
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
中沢 勝三 弘前大学, 人文学部, 教授 (70113818)
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Keywords | ヨーロッパ世界経済 / 17世紀オランダ経済 / ブルラマッキ家 |
Research Abstract |
17世紀オランダはヨーロッパの他国に比して相対的な政治の安定の下に経済,商業,貿易の面で絶大な繁栄を謳歌した。その経済的繁栄の基盤として従来指摘されてきた商業・貿易活動について,本研究では,17世紀におけるブルラマッキ(Burlamacchi)家の経済,交易活動の実証的研究を軸として当時のオランダ経済のおかれたヨーロッパ経済,および形成されつつあった世界経済のあり方と特質を解明しようとする。本研究においてはアムステルダム市古文書館所蔵のブルラマッキ家文書(マイクロフィッシュで購入済み)を主要な史料として用いている。その総体的な解読と史料全体の構成。その読み込みは現在研究中である。 ブルラマッキの家系はイタリアのルッカに由来するが,宗教改革の動乱の過程でオランダのアムステルダムに移住した家系のなかから,17世紀後半に出たベンジャミン・ブルラマッキが顕著な経済的活動をおこなった。そして,彼が残した文書(他から来た書簡を含めて)がこの史料の中核をなしている。この文書は,大要4つの部分に分類される。簿記,訴訟記録,交易活動の文書類,そして通信書簡の4つである。このうち最大の部分を占めるのが通信書簡である。この書簡のうちまた最大部分を占めるのが商業的性格を有した到着(着信)の書簡であって,これらの書簡の内容を精査することにより,17世紀後半のブルラマッキ家の経済的状況とオランダ経済の実態が復元・解明できるものと考えられる。
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